僕は良夫ちゃんがパーを出すのは予想していた。
頭がパーマンは、出すのもパーだ!
絶対だ!!
普通にジャンケンしていれば僕の勝ちだった。
それをあろう事か後だしジャンケンで負けた…
ルール無用のインチキジジイ…
これで捕まれば、間違いなく僕は良夫ちゃんを怨む。
怨みたくないがゆえのジャンケンだったのに…
押し込められた豚バコの中で、あのジジィー、あのジジィーと叫んでいる自分の姿が見えた。
突っ込むのもダルい。
よし…
見とけ…
死んでやる!
腹をククッた。
そうは言っても無茶は出来ない。
25万を一度に換えるなど言語道断である。
とりあえず7万円のレシートを1枚両替して様子を見る事に決めた。
入店は中華ソバがレシートを作った計量機が見える所からにする。
計量機を止めていたり、店員が張り付いたりしていなければ、そのままカウンターへ向かう。
後は出たとこ勝負だ…
絶対平気だ…
僕はツイている…
必ず乗り切る…
半ばヤケクソと言って良い程、策は無かった。
一枚のレシートを手に握りながら自動ドアを抜けて店に入る。
入って直ぐに左手側の奥を見た。
何人もの、お客さんを挟んだ通路の反対側に在る計量機の前に、店員が二人居て、何やら作業をしている。
中華ソバがレシートを作った計量機である。
バレてる!
そうとしか思えなかった。
首だけ戻し真っすぐ歩いた。
無理だ…
やっぱりバレてるんだ…
真っすぐ歩きながら右手に見えて来たカウンターを見た。
初めて見る顔の、若い男の店員が一人カウンター内に立っている。
一番ガードしなければいけない所に店員が一人…
少しカウンターを通り過ぎ周りに見える店員を見た。
誰一人カウンターを気にしている店員は居ないように見えた。
まだ疑ってる段階だ…
そう思うと同時に、もう一枚のレシートをポケットから出しながらカウンターに向かった。
この一回は出来るような気がする。
駄目なそ振りがあったら走る…
それで良いや…
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