中華ソバがレシートを作った計量機を見に行った。
見張りが居たり、閉められたりはしてはいない。
更に、ナイスガイを捜したが見当たらない。
帰ったか?
それならば良夫ちゃんも少し助かる。
よし…
やろう…
なるようになる…
店を出て良夫ちゃんに店内の状況を話した。
「疑ってるか分かんない… ナイスガイは居ないみたいだけどカウンターに店員が三人居る」
「三人… 店員減るの待ちますか?」
良夫ちゃんに少しビビりが見える。
僕に助けないと言われ怯んでいるのであろうか?
「なに? 怖いの?」
小馬鹿にした顔で笑ってやった。
仕返しだ!
僕の中で、何かに火がついた瞬間であった。
人に出来ない事をする。
それはどこか快感を伴った。
伝説の男を倒すチャンスでもある。
例えそれが偽物でも倒したい。
良夫ちゃんは平気ですと言った。
問題は、どちらが先に行くかと、何回で、いくら両替するかに絞られた。
はっきり言って先は嫌だ。
バレていれば、いきなり捕まる可能性が高い。
特に僕は、年齢的にゴト師だと思われる可能性が高い。
良夫ちゃんや婆さんと違って見た目で救われる事がない。
捕まってもボケ老人の振りは通じない。
ハンデとして後に行かせて欲しかった。
良夫ちゃんに、どちらが先に行くか聞いた。
「先にどうぞ…」
そう言った良夫ちゃんの目は泳いでいる。
僕を実験台にしようとしとる…
先か後か…
どちらにも利点が有り、弱点もある。
「ジャンケンしよ… どっちが捕まっても恨みっこ無しで済む。あの時、先に行かされたからとか、後で思いたくない」
良夫ちゃんも納得した。
負けた方が先に行く。
掛け声を併せてジャンケンが始まる…
「最初はグゥー !」
「ちっけったぁー!」
まて、まて!
僕が出したグウに対して良夫ちゃんはお約束の様にパーを出した。
勝った、勝ったと騒いでいる。
突っ込む所が有りすぎる…
オッサン…
汚かろ?
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