アイツ危ねえなぁ…
そう思いながら中華ソバを止める為に彼に近づく積もりで歩こうとした。
近づいて、声を掛ければやめるであろう。
その時、僕の視界の隅に二人の店員が入った。
店を四角と見て僕は角に居る。
中華ソバも角。
中華ソバから見て、対角線上の角に店員二人がいた。
僕からは中華ソバも店員達も見える。
その二人の店員の、立ち話をしている姿が、首を振り向けた僕の視界に飛び込んだ。
疑われてる!!
何で気付いたのかは分からない。
店員同士が話しをする時の姿勢だろうか…
多分勘だ。
どちらにしても、中華ソバを止める積もりで僕は店に来ている。
止めるのにタメラウ必要はない。
しかし巻き添えはお断りである。
レシートゴトに関係ないのであれば中華ソバなど知った事ではない。
面白いから勝手に捕まれば良い。
しかし関係は大有りだった。
助けるしかない。
無理はしない。
僕達は、既に充分稼いでいた。
中華ソバに近付くと巻き添えを喰らう恐れがある。
僕はポケットからハイテク兵器を取り出した。
その名は携帯!
掛けたが出ない…
クソ中華!
こっち見ろ!
呼び出し続けると中華ソバは携帯に気付いたのかポケットを探りながら僕の方を見た。
僕は携帯を顔の前辺りに掲げて、出るように合図した。
通話が繋がる。
パチンコ屋の騒音で、ほとんど聞き取れない。
中華ソバの逃げるルートは僕の横にある扉が最良な気がした。
僕の横の扉から出れば二人の店員に見られる時間は数秒で済む。
他の扉は見られる時間が長い。
僕は、中華ソバを手招きで呼びながら、携帯に喋り続けた。
「ばれてる!絶対はしるな!走らなければ捕まらない!」
どの部分が聞こえたのか、僕の方に向かいながら中華ソバの顔つきが変わった。
やべ…
コイツ走る!
僕は右手を前に突き出して止まれの合図をしながら携帯に走るなと言い続けた。
手の合図を止まれと理解したのであろう。
中華ソバは立ち止まった。
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