「お姉さん出て来たよ」
誰やねん!
さっきババァって言ってたじゃんか…
お前は太鼓持ちか…
カウンターの女性は帰ってはいなかった。
出来れば、他の男に替わってくれる方が、僕達としてはありがたいのだが、指示が出来る立場ではない。
それでもナイスガイよりはマシである。
これにより、良夫ちゃんを除く、全ての奴らが両替に、とりあえず行ける事になった。
ツルッパを除いて総勢14人である。
既に皆、一度は両替をしているので手ぶらで帰る事はない。
ツルッパのお役目は終了したので喫茶店に行くように言った。
「もう良いから、喫茶店で、まずいコーヒーでも飲んでなよ」
「え?俺パチンコ出てるよ。確変中!」
「ふ〜ん… そこに居たら怖い思いするから、早く終わらして店出な」
「え…?なに… なに!何すんの!?」
ビビんなっちゅーの…
「知らんよ」
ツルッパは僕が、ふざけたと勘違いした。
「嘘だろ〜 お姉さんと話すトコ見られたくないんだろ」
どうでも良いけど、お姉さんって言うな…
オベッカを使われると情けなくなる。
「お姉さんて誰?カウンターのババァの事か?お前はアホか。よく考えろよ。僕がホントにあのオバサン口説くと思うのか?50ちけえだろ… お前は少し人を疑え… そこに居たら危ない。あとは好きにしろ」
それだけ言って電話を切った。
中華ソバが戻らない。
欲張っているのか、苦戦しているのか…
ゴト中の人間に電話はしづらい。
電話が彼へのプレッシャーになる可能性がある。
仕方なく迎えに行った。
タイムリミットが近づいていたので、次に両替をやらせる手下を数人連れて行った。
良夫ちゃんが付いて来ようとしたので止めた。
「後でね」
生きる伝説を皆の前で怒る訳には行かない。
僕が良夫ちゃんを馬鹿にするような態度を取れば伝説など構わず周りにイジメられる。
手下達は皆、人間として最低な奴らばかりである。
弱い者イジメなど普通の事であった。
店の近くに手下達を待機させて、僕は一人、パチンコ屋へ入って行った。
計量機前では、中華ソバが、挙動不審丸出しで作業をしていた。
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