反射神経で答えただけであろう…
変な所は勘が働くようである。
しかし、僕が観察した時も男の店員は、何かに気付いた動きはしていなかった。
余り深く考えるのは無駄である。
考えれば怖くなる。
僕は二人とは違い、普通にビビる感覚を持っていた。
4万前後のレシートを一枚づつ持った。
良夫ちゃんは当然言う。
「もっと!」
食べた事を忘れる老人のようである。
「ダメだよ… 3人で列んで行くから。全員無事なら、またすぐ行くから」
良夫ちゃんの顔が言う。
【食べてないのにぃ〜】
お爺ちゃん…
さっきお腹一杯食べたでしょ!
そう言いたい。
ツルッパに電話してカウンターの状況を聞いた。
「僕のスイートハニーは出て来たか?」
パチンコ屋の騒音で聞こえ無かったらしい。
ツルッパは店の外に出た。
言い直す。
「僕の女は?」
「マジで言ってんの〜」
「そうだ!」
ツルッパは、笑わなかった。
ツルッパの、恋愛相談が始まる…
やめてくれ…
死にたくなる…
マジと思われる僕とは何だ…
「黙れ… 出て来たかどうかだけ答えろ…」
出て来ていないとツルッパは言った。
僕達の両替をツルッパに見せたくない。
まだ見張りとして使う為である。
「今やってる台はそのままで良いから、喫茶店に換金した金持って来て。急いでな!」
それだけ言って、返事も聞かずに電話を切った。
ツルッパが喫茶店に向かう為に使う出口とは違う入口から僕達3人は店に入った。
中華ソバをカウンターに真っすぐ向かいながら探す。
見える計量機前に、中華ソバは居なかった。
残りの計量機は2台…
どちらかに居ると思った。
両替が済んだら、店を出る時に見てやろうと決めて、両替に集中した。
カウンターには、先程と変わらない男の店員が居た。
一度成功している、3人列びで、男に慌てさせる作戦で行く事に決めてある。
列び順は、僕、婆さん、良夫ちゃん。
見た目で疑われる可能性が高いのは3人の中なら僕である。
僕が守って貰う…
コメント