少しするとツルッパから電話が来た。
パチンコ屋の裏手の方に喫茶店があると言う。
「僕、行けなくなったから一人で待ってて。まだゴトやるか分かんないから。多分2時間ぐらいかな。両替した?」
「したよ」
そうツルッパは言った。
問題無し…
「後で電話するから出てね」
それだけ言って電話を切った。
ツルッパ…
もう一回行けるな…
方法を頭の中で捻り出す。
「問題無いみたいだからお母さん行って。良夫ちゃんは、お母さんに付いて行って駐車場で待機ね。絶対良夫ちゃんは店に入っちゃ駄目だよ。お母さんが直ぐに店から出て来なかったら僕に電話して。お母さんの両替が終わったら換金はしないで良いから景品持って二人でなるべく早く戻って来て。分かった?」
二人は分かったと言った。
僕は信じない…
何度も痛い目に遭っている。
「復唱して」
やはり少し間違えた…
「違う。換金はしないで良いから… お金にして来ないで良いって事だよ… 景品を持って、ここに戻って。分かった?」
二人は分かったと言った。
僕は信じない…
何度も、何度も懲りている。
二人は、ワザとやっているのかと、いつも僕に思わせた…
婆さん達二人がパチンコ屋に向かって直ぐに手下達から連絡が来た。
四人揃ったと言う。
コンビニの駐車場に呼び出した。
良夫ちゃんのワンボックスに乗せる。
作戦会議に入った。
僕には一つ分かっている事がある。
それは、僕を含めた、この5人の中から、危険な目に遭う奴が一人出る可能性が高いと言う事である。
限界までパチンコ屋からレシートゴトで抜くと言う事は、誰か一人が最後に完全に疑われると言う事を意味する。
どこが限界であるか分からない以上、それまでやめる積もりは無い。
行ける所まで行く…
ツルッパには安全な内に後一回だけやらせる。
婆さんと良夫ちゃんは疑われにくいし、何かあっても僕が必ず助け出す。
答えは、僕達5人の中から貧乏クジを引く奴が一人出ると言っている。
5人共、年代は近い。
誰かが貧乏クジを引くが、誰が引くかは分からない…
それを四人に説明した。
すると二人がワズかにヒルんだ。
お…
この二人のどっちかかな…?
そう思った。
しかし簡単にドジられても困る。
戦いは店側と、マズしなければいけないのである。
店側の疑いをカワし続けて、最後に誰かがクジを引く…
それが望ましい。
手下達四人に、疑われない方法を教えた。
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