韓国人・○国人11

「じゃあ、お母さん最初に行こうか」

「はい」

婆さんはそれだけ言った。

婆さんがイキナリ疑われる事は無いであろう。

このゴトのキモは、見た目で疑われない事が全てのような気がする。

後半に来れば変わるだろうが、最初はそうであろう。

有り得ない金額でも、婆さんと良夫ちゃんなら通る。

普段から二人のゴトは見た目だけに助けられている。

決して技術や感覚が鋭い訳では無い。

どちらかと言うと二人とも鈍い。

自分達が、犯罪を犯している事を、分かっていないのかと思う時すらある程、堂々としている。

僕が余り二人のゴト師スタイルに文句を言わないのは、二人に罪の意識を持たせたくない為でもある。

責めれば罪を意識してしまうような気がした。

それは手を縮ませる。

脅威を知って、それに打ち勝つのが本物の強者であろうが二人は違う。

脅威を知らない強さであろう。

二人はそれで良いような気がする。

僕がコントロールさえ間違えなければ…

僕がコントロールに誤って二人が捕まったとしても、二人は僕を責めはしないだろう。

ゴトは捕まる事を前提にしている事は理解しているようであった。

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婆さんにレシートを三枚渡した。

合計金額は15万円を越える。

万が一疑われた場合の、切り抜け方を教えた。

「店員は疑って来たら、どの台で出したって聞いてくるから、覚えてないって言いな。それだけ言い続ければ平気だから。 絶対にあの台だったとか言っちゃ駄目だかんね。それだけ言ってれば絶対帰れる。なんかあったらすぐに僕が行くから。良夫ちゃんも同じだよ」

二人は頷いた。

余計な事は二人には言わない。

理解させるだけで疲れてしまう…

アホだから。

もう一つ切り抜け方があったが後で教える事にした。

婆さんの次は良夫ちゃんだと伝えて、待っている手下達に電話をした。

後二人も、すぐに着くと言う。

「着いたらこっち来て。やるゴトは偽造したレシートの交換だから。取り分は両替した金額の三割。上手くやれば10万ぐらいにはなるよ」

それだけ言って電話を切った。

手に入る金額を思い、僕はニヤけた。

危険になって来たら、少し取り分を上げてやるか悩んだ…

婆さんと良夫ちゃんが、ジトッとした目で僕を見る。

負ける訳には行かない…

僕の儲けが減ってしまう…

「なにさ… 二人も三割が良いの?そりゃ助かるわ〜」

二人は首がチギレそうになるぐらい、大きく何度も振った。

この日の僕は二人に勝った…

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