韓国人・○国人10

車の扉を閉めたら不思議と笑いたい気分は消えた。

良夫ちゃん達にゴトの説明をする。

「今ツルッパに渡したレシートは偽造だよ。偽物。両替して来るだけで取り分五割」

良夫ちゃんはボンヤリしている。

婆さんが反応した。

「ツルッパさん騙したの?」

「うん、アイツ聞いたらビビるでしょ。言わない方が良いんだよ。まだ楽に出来るから平気だよ」

そして一度〇国人達が疑われ掛けた事や、両替のやり方を説明した。

一人二回ぐらいまでは安全だろうと僕の予想を言った。

「〇国人達が疑われ掛けてるから、間違っても〇国人に間違われる奴はまずいんだよ。だからお母さんと良夫ちゃんに頑張って貰わないと300万円は交換出来ないかも知れない。時間も2、3時間しか無いかも知れないし。出来る?」

良夫ちゃんが言った。

「全部一人で交換したら、150万くれるんですか?」

目が輝いている…

出た。

プッツン!!

「うん… でも駄目だよ…」

残念そうである。

彼の限界とはドコであろう?

捕まるまで止まらない…

いや…

捕まっても止まらない。

このゴトの、ひと月ぐらい前に良夫ちゃんは変造カードで捕まっている。

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それを前回と同様に婆さんが助け出している。

一緒に廻っていたツルッパから慌てて電話が僕に来た。

「良夫ちゃん捕まって、お母さん事務所に助け行っちゃったよ!」

またかと思い、急いで現場に向かった。

15分程して電話が鳴った。

通話ボタンを押す。

「来ないで良いです。今帰らして貰いました」

そう婆さんが言った。

どうなってんだ…

このババァ…

捕まったと聞いた時の衝撃よりも、助かったと聞いた時の衝撃の方が強い。

疲れが全身を襲った事を記憶している。

路肩に車を停めて婆さんに言った。

「もうお母さんゴト辞めてくれ!」

この時も本気でそう言った。

婆さんは笑って取り合わなかった。

その婆さんをまた僕は初めてのゴトに引き込む。

このゴトの中心的存在として。

普通は捕まれば助かったとしても手が縮む。

しかし良夫ちゃんと婆さんに限り、ビビると言う事は無縁のようであった。

婆さんがゴトを辞める時は、二人の内のどちらかが警察に捕まった時だと思った。

もう一つは心臓が止まった時であろう。

どうせ一度は捕まるなら、それまでに稼げるだけ稼がせてやろうと僕は決めた。

例えそれがどんなに危険であったとしても…

人の道に外れていたとしても。

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