最悪でも、この段階で完全に疑われている事に気付くべきである。
しかし彼は気付かなかった。
レシートを普通に白シャツに手渡す。
レシートを受け取った白シャツは、ワンタンメンに世間話し風に話し掛けた。
それをワンタンメンは無視した。
喋れば自分が〇国人である事がバレると思ったと言う。
白シャツは、すぐに景品を渡さず、しつこく喋り掛けた。
ワンタンメンは、しまいにはジェスチャーで、その問い掛けに答えた。
カタコトを全員馬鹿だと思い込んだ僕に罪は無い…
絶対無い…
しかし店側もボケている。
最後には両替をアッサリ許している。
どちらも馬鹿である。
その後、冷し中華は両替をストップさせて僕達を呼んだ。
まだまだイケる…
手遅れではない…
店側はレシートの偽造とは思っていない…
そう思った。
抜いた金額と、残りのレシートの金額を聞いた。
抜いた金額が70万円。
レシートが300万円分あると言う。
「どうやってレシート作るの?まだ作れるの?」
半分興味で聞いた。
「作ろうと思えば作れるザンス…」
それだけ言って、レシートの作り方は答えようとしない。
この日レシートの作り方を冷し中華は答えなかった。
「本物と何も変わらないから大丈夫ザンス」
それだけを言い続けた。
出たばかりのゴト道具の命は情報である。
何をすればレシートが出来上がるのかを知る人間が多くなれば寿命は短くなる。
コピーは道具自体を見なくても、どう言うシステムかを知られただけで簡単にされる。
パチンコ屋に防犯の為の情報として売るゴト師もいる。
道具屋から近い位置に居るゴト師は、新しい道具が入ると、情報がゴトの世界に広がる前に荒稼ぎする。
そして情報が広く漏れ広がると道具を高値でゴト師やヤクザ者達に売る。
道具屋から遠い位置のゴト師は、その道具を持ち、やれる店を探しながらパチンコ屋廻りをする。
そしてパチンコ屋が対策をする。
その繰り返しである。
パチンコ屋が防犯の対策をした時には、既にやりまくられた後なのである。
冷し中華がレシートの作り方さえ言わないと言う事は、まだ新しいゴト道具だと分かった。
冷し中華が雪ちゃんの仲間である以上、リュウにも道具が入る可能性がある。
道具は情報を知って探さないと、リュウとは言え、荒稼ぎ後の道具しか入らない。
情報と時間の勝負である。
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