それから冷し中華は素直になった。
「嘘はよせよ。バレた原因はアイツの見た目だけか?」
そうだと冷し中華は言った。
しかし、よく聞くと違う…
カタコトが全員馬鹿である事を僕に強く印象付けた。
この日パチンコ屋は新装開店であった。
現在の新台に空台があるような新装開店とは違う。
この当時、新装開店と言えば、お客さんが列をなした。
パチンコ台に設定が有った為、出しやすかったのであろう。
更には、現在のように液晶画面が派手になり、一台50万円前後の値段になったパチンコ台とは違い、一台辺りが安かった為お客さんから回収する金額も少なくて済んだ。
普通の日よりは出るのが新装開店であった。
新装プロなどと呼ばれる新装開店だけを狙うプロまでいた。
この世に存在する筈が無いレシートを、お金に換える為には、お客さんが沢山いて人の中に紛れ込む方が換えやすい。
現在のように、お金のインとアウトが一目で分かるようなホールコンピューターが、どのホールにも付いていた時代では無い。
それらの防犯設備は、変造カードが終わり掛けの頃に、店側に打撃だけを与えるゴトが流行り出してからである。
冷し中華達も少しは考えて、お客さんで混んでいる日を狙った。
しかし、ここからが意味が分からない。
開店1時間後の11時に、1人目の手下の中華ソバが、3万円と5万円のレシートを一度にカウンターに持ち込んだ。
合わせて8万円である。
これが既に失敗であろう。
お客さんは沢山居るが、開店1時間で8万円分もレシートを持ち込むお客さんは珍しい。
更に顔が〇国人である。
犬と〇国人お断りの変造カード時代である。
いきなり疑われた。
間違いなく物が考えられない奴らのやり方である。
しかし店側も完全に疑い切った訳では無い。
ジロジロ見られただけだと言う。
20分後に、二人目の中華ソバが、金額を下げて3万円のレシートを持ち込んだ。
金額を下げて、持ち込む人間を替えたのに、カウンターの女性従業員に顔をジロジロ見られた。
〇国人顔が、既に疑われる原因になっていたのであろう。
そんな事を繰り返し一巡した。
ニ巡目の先頭バッターは当然のようにデッドボールを食らった。
それが先程、車の外で動揺したワンタンメンである。
カウンターの店員は女性から白シャツに代わっていた。
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