源次にゴトをやらせる為にはゴキブリ達を遠ざけようと決めていた。
見張りなどが付いていたのでは源次に要らないプレッシャーが掛かる。
そのうえ、アガリをゴキブリ達に知られて、全部取り上げられたのでは、やる気も失せる。
アガリの中から、源次が自分で返済額を決めて返して行けば良い事だと思っていた。
お金を返さずに終わらせる方法も無い事はない…
「怖がりのカタギなんか捕まったら警察に僕の事喋るだろ… 信用出来ないよ。見張りなんか無駄だろ」
それは自分達を源次は恐れているから平気だとゴキブリは言う。
「いや 信用出来ない。お前達の事は喋らなくても僕の事は喋るかもしれない… 僕が多少安全な打ち子に連れ廻して日当2万ぐらい払ってやる事は出来るぞ。それなら源次一人だけ使ってやる」
慌てたようにゴキブリは言った。
「それは俺にやらしてくれよ!源次はカードで充分だよ!」
「お前はカタギに見えないから駄目だな… 源次の見た目だからやらせるって事だ」
ゴキブリは日当をもう少し出してくれと言った。
「源次がゴトに慣れて、危ない奴が出来るようになったらな」
するとゴキブリは言った。
「日当は保証か?」
言質を取られる訳には行かない…
「保証なんかするか!僕がゴトをした時だけだよ。まあ月の内20日ぐらいはやってるけどね。それだって約束はしないぞ。でも源次を使った時は夜にでも連絡するよ。なんなら金の集金もしてやるし… それなら見張りも要らねえだろ」
ゴキブリは納得がいかない顔をしている。
「嫌なら他のシノギ探してやれよ… 今どきあんなオッサンが捕まらずに2万になる仕事があるならな」
ゴキブリは僕の目の前で兄貴分に電話して確認した後に言った。
「じゃあやらしてくれよ。兄貴もそれで良いって言うからさ」
「分かった。もう一回電話して兄貴分に言ってくれ… 安全なゴトでも捕まる時は捕まるって。その時の責任を僕は取らない」
ゴキブリは、その場で兄貴に電話して了解を取った。
しかし僕はゴキブリ達を全く信用していない。
源次が捕まればケツ取りの話しをされる可能性は高い。
僕は腹をくくった。
その時は、お金を使ってゴキブリ達を、死ぬ手前ぐらいまで痛めつけてやろうと決めた。
この当時、安い〇国人のヒットマンが、僕の周りには沢山いた。
ソイツらが宛てに出来なくても、自分でどうにか出来ると、僕は自分を信じた。
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