電波ゴト42 〜相棒〜

鴨だな…

良いか…?

「ヘタレだったら即効クビだよ」

そう僕はゴキブリに言った。

この時のチンケな欲が僕を高みへと運ぶ結果になった。

その青タンは、感情をなくしたように暗い顔をしていた。

名前は【源次】とする。

年が40代後半で、独身の何も持たない男である。

いや…

借金は持っていた。

髪型が昔の人がするシチサン分けで、真面目なサラリーマンに見えた。

着ている服は、仕立の良さそうなスーツだが、少しヨレた感じである。

こいつ、ゴキブリ達に脅かされてんのか…

すぐそう感じる程ゴキブリ達とは人種が違うように見えた。

ゴキブリを二人から離した所に引っ張って行き聞いた。

「なんだよ、あのオッサン」

「何でもないよ。俺達に借金があるからゴトやらせて返させたいんだよ」

カチンと来た。

「お前、なめてんのか?僕をそんな事に絡めんじゃねえよ」

「いや、絶対迷惑掛けないから… カード代も先に払わせるし、万一捕まっても責任とか言わないし…」

「当たり前だろが!つうか無理矢理やらせんだろ!?」

ゴキブリは違うと言った。

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いくつかのやれそうな仕事を源次に紹介した所、源次自身が変造カードゴトが良いと言ったと言う。

しかし無理矢理感は否めない。

駄目だ…

やらせない…

揉め事のタネになる…

「無理だな。連れて帰れ」

そう僕はゴキブリに言った。

それでもしつこくゴキブリは頼んで来る。

それを少し離れた所で見ていた源次が僕に近づいて来た。

「すいません… これ以外で借金が返せそうにないんで是非やらせて下さい」

そう言って源次は頭を下げた。

いくらの借金が有るのかは知らなかったが、確かに稼げる額は普通の仕事よりも多い。

手下の中にも借金からの脱出に成功した奴らは沢山いた。

あいつらと同じか…

少しやらせて見るか…

自分で言って来る以上、やらせない理由は無い。

ヘタレなら直ぐに切る事に決めて了承した。

見張りで付くと言う舎弟の見た目は、完全にヤクザであった。

「あいつは多分見た目ですぐ捕まるよ。僕は一切責任は取らない。3、4日一緒に廻って出来るようならカードだけ卸すから二人で適当な店を探してやるんだな。それで良いか?」

ゴキブリはそれで良いと言った。

こうして源次とウジムシを連れて三人でホール廻りをする事になった。


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