電波ゴト37

弁護士には、歴然とした能力の差がある事は、この後で知った。

担当した人間が犯罪者であろうとも、罪の量刑を減らす事が弁護士の仕事である以上、能無しや無能などの言い方は間違いではあるまい…

この弁護士は、伝書鳩のように、僕と一号を繋ぐ役割しかしなかった。

鳩と何度か話しをしていく内に、一号は刑務所に入る事が確実だと僕は間違って理解した。

「入るとしたら2年は越えますよ」

そう鳩が言った。

一号の家族は6人…

見ず知らずの6人の面倒を二年間…

アホか?

そう思った。

更に鳩は言った。

「犯罪を犯して捕まった事を、家族に隠してくれとも言っていました」

え?

どうやって?

家族に僕が会うのか?

そして見ず知らずの家族に嘘を付いて、一号が二年間世の中に出て来ない事をゴマかす…

出来るか!!

人殺しか誘拐犯だと思われるわ!

マグロ船に乗ったと嘘をつこうか少し考えたが、明らかに無理がある…

更に6人分の生活費。

二年間で約6、700百万円…

勘弁して下さい!

一号は僕の為にゴト師をしていた訳ではない。

完全に自分の儲けの為だけである。

逮捕の際に暴れて、罪の量刑を増やしたのも、全て自分の責任である。

一号に変造カードを売って僕が儲けた金額は、たいした物では無い。

弁護士費用で足が出る。

余りの甘えん坊ぶりに呆れた。

鳩に一号への伝言を伝えた。

「全て諦めろ」

しかし一号は、スガるように何度も弁護士を警察署に呼び付けては頼んで来る…

周りの手下達は、放って措きなよ、と笑って言う。

言われるまでも無く、僕もそうする積もりである。

しかし一号は、しつこかった…

ゴト師をやって捕まった事が嫁に知られたら離婚されるや、しまいには子供がもうすぐ小学校へ上がるまで言い出した。

泣き落としである…

こうなると、弁護士を国選に切り替えて、一号に一切接触するのをやめる事が最良に思えて来る。

それは執行猶予の可能性を間違い無く下げる。

無償の弁護士より、有償の弁護士の方が助かる確率は上がるように思えていた。

問題は、お金だけでは無く、能力にもよると言う事に気付かなかった。

どうするか悩んでいる間に10日が過ぎた…

その悩みに決着を付けたのは警察であった。

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