電波ゴト36

刑務所一号の手下は、捕まっても僕達との関係を、警察に一切喋らなかった。

それらの情報は、一号が捕まった三日後には、僕の元に弁護士を通して入って来た。

妄爺の知り合いの弁護士である。

僕が犯罪者と知りながらも、喜んで弁護を引き受ける弁護士であった。

接見と呼ばれる面会をすぐに頼んだ。

変造カードの仕入れがある以上、仲間が居る事は明白である。

一号は、知らない〇国人から、パチンコ屋の前で初めて変造カードを買ったと自供していると言う。

当然警察は信じてなどいない。

しかし真剣に取り調べたりはしない。

事件自体が小さいからであろう…

一号の先に居る、僕までたどり着けば、逮捕者は結構な数にのぼると思うのだが…

警察は変造カードゴト師を甘く見過ぎていた。

後に起こる、ゴトでは無い多くの犯罪は、全てここから始まったと言っても過言では無いと僕は考えている。

爆発的に増えた変造カードゴト師…

犯罪に手を染める事を厭わない者達…

変造カードが終わり、キツいゴトが出来ないゴト師が、どう言う動きをしていったのか…

それは、このお話しが続けば書く事になる。

一号には、仲間が居ると予想されたので、警察は証拠隠滅の警戒とイジワルで、接見禁止と言う弁護士以外との面会禁止の処置を取った。

僕は、一号が捕まって初めて、ゴト師逮捕後の裁判までの流れを細かく知った。

弁護士を通して一号が僕に伝えて来た。

「家族の面倒を見てやって下さいと言ってましたよ」

は?

なんで?

そんな約束は誰ともしていない。

身動きの取れなくなった犯罪者は、誰彼構わずスガり付いて来る…

弁護士すら気が動転して付けただけである。

それが甘えを生ませる結果になったのだろう。

弁護士は、この段階で執行猶予が付くか付かないかは、予想出来ないと言った。

分かってはいるのだろうが答える事を嫌がる…

刑務所が確実だと僕に言えば、国選のお金の掛からない弁護士に切り替えられるからであろうか…

能無しがバレるからであろうか…

弁護士によっては、この程度の事件ならば、簡単に執行猶予を勝ち取る。

しかしコイツは能無しだった。

もう少し早くコイツが弁護士として無能である事に気付いていれば、一号は刑務所に入らずに済んだかもしれない。

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