捕まった際に裁判まで行くか、パチンコ屋での、お説教程度で帰れるかはツキである。
捕まる際に抵抗していれば、警察を呼ばれる事が多い。
しかし抵抗して逃げ切る人間も多い。
ホール内で店員に周りを囲まれた時に、しなければならない最初の判断である。
抵抗せずに捕まって、謝り続ければ説教で帰れる可能性が上がる。
抵抗すれば、ほぼ警察を呼ばれるのが、普通であった。
どちらを選ぶかは、その人間の性格や、その日の体調によるのではないだろうか。
この時期までに僕も数回、店員に周りを囲まれた事がある。
しかし僕は、店員に疑われてから囲まれる前に、いつも気付いていた。
変造カードがサンドに挿入されている状態で店員に周りを囲まれた事は無い。
この時期は変造カードを所持しているだけでは罪にならなかった。
なので大人しく捕まって謝ると言う選択はした事が無かった。
いつも強気である。
特に、その日パチンコでハマッていたりすると超強気である。
危険な変造カードを使いながら儲けを手にしていない怒りの方が強い。
ハマッている怒りは、現金でパチンコを打っている時より強い。
勝手な物である。
僕は新人を育てる際に、捕まった時の処置の仕方を余り細かく教えなかった。
人の繋がりを喋ると罪が増すと言う事と、大人しく捕まれとだけ教えた。
何を教えた所で、土壇場になれば、人はどんな判断をして、どう動くかは、本人すら分からない。
そう言う奴らに、僕が暴れてでも逃げろと言い続けたりすれば、それは洗脳になる。
出来うる限り、暴力を振るわせるのは嫌であった。
だからと言って、店員に同情した訳でも無く、手下達の罪が増す事を危惧した訳でもない。
何となく嫌だっただけである。
捕まった二人の手下の内の一人は、逃走しようとして、暴れて逮捕となった。
暴れてしまった以上は、「逃げ切れ馬鹿」と思っていた。
変造カードの罪に傷害の罪まで加算される事になる。
店員の怪我は全治二週間と重い物では無かった。
顔を一発殴られただけだったと言う。
執行猶予が付いて、刑務所に入らないで済むのであれば、無料の国選弁護士を付けて放って置く所だが、刑務所に二年以上入る事が予想されたので、お金の掛かる私選の弁護士を付けてやった。
手下達と、そんな約束は一度もしていない。
刑務所行きの可能性が高い手下が出た事で、僕は動転していただけである。
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