変造カードゴト師以外の電波ゴト師などを警察に突き出す事は、パチンコ屋にとって面倒臭い物である。
事情聴取に長い時間を割かれ、裁判の時に呼び出される事すらある。
しかし変造カードゴト師の場合は、被害者がカード会社である。
警察に突き出してもパチンコ屋にとって面倒が少ないのである。
裁判の時などは、余程の事がない限り、呼び出される事はない。
逮捕の際に、店員が怪我をすると面倒になるので、店員の安全にも気をつけた作戦になった。
そして数日後…
生贄がタケコブタにやって来た。
僕は見ていない。
新人を連れ廻していた。
良夫ちゃんから生贄の来店を報せる電話が来た。
「ロン毛来ましたよ」
僕は台番号を聞いてスネ夫に伝えた。
準備は全て出来ている。
スネ夫は直ぐさま警察を呼んだ。
出来るだけ覆面パトカーで来るように伝えさせた。
外で赤灯をクルクル回されたのでは騒ぎになりやすい。
しかし初回のこの時は、パトカーで警官が二人来た。
犯罪うんぬんでは無く、営業中のお店に、赤灯を回したパトカーを横づけする事が、迷惑以外の何物でもない事を警察は想像出来ないのであろうか?
使えない奴らである。
警察を呼んだ段階では、まだゴト師を捕まえていない。
逮捕は簡単であった。
なぜか警察は、強く要請しなければ、ゴト師をホールに入り込んで逮捕はしてくれない。
身柄を引き受けるだけである。
警察が到着した直後に行動を開始する。
逮捕に使う店員は二人。
それ以外の店員には、ゴト師が入り込んでいる事さえ教えない。
知れば興味に包まれ動きがおかしくなる。
勘の良いゴト師には、すぐに気付かれる。
そうしておいて、一人の店員がゴト師の元へ向かう。
この店員はタケコブタの中で1番弱そうに見える店員を選んだ。
決してゴト師に恐怖感を与えては行けない。
笑顔で近付き、一枚の手紙をゴト師に渡す。
【警察は呼びません。あなたの変造カードの使用を確認しました。当店の【打ち子】になって頂けませんか?なって頂けるのであれば、事務所までお越しください。タケコブタ店長】
ゴト師が読み終わった事を確認した直後、こちらです、どうぞ、ジュースは何が良いですかなどと言ってニコヤカに店員に案内させる。
変造カードが終わるまでに、10人のゴト師を捕まえたが、8人のゴト師が、この手に引っ掛かり、事務所内で警官に逮捕される結果になった。
ゴト師は【打ち子】と言う言葉が好きなのである。
自分の変造カード使用が、バレた事を知らされた直後のゴト師に、冷静な判断が出来る奴は少ない。
二人は逃げた。
しかし逃げ切らせたりはしない。
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