タケコブタのスネ夫と話しを付けて、三ヶ月程経った頃の事である。
タケコブタからゴト師の追い出しに成功して30万円の餌代を確保した僕は少し調子に乗ってしまった。
スネ夫に適当な事を言って打ち込む金額を30万円から60万円に上げさせた。
これがカード会社に目を付けられる原因になってしまった。
金額を上げすぎるのは、まずいような気はしていたのだが…
妄爺の店から育てた新人の中には、捕まる事が許されない奴らがいた。
刑務所を出たばかりの奴や、家族持ちで事情がある奴である。
刑務所を出たばかりの奴は、捕まれば直ぐに長い刑務所生活に戻る事になる。
家族持ちの奴は、男親一人で小さい子供を育てていた。
捕まれば子供は施設行きになると言う。
だから何だと言いたい…
誰だって捕まれないと思う理由は、いくらでもある。
自分達だけ特別だと思われたらかなわない。
捕まるのが嫌なら真面目に働けと思う。
普通なら、ご苦労さんといって速攻で帰らせる。
彼らは、一日2万円程になれば良いと言う。
ならばと思い、打ち込む金額をスネ夫に上げさせて、タケコブタで打たせる事にした。
しかしタケコブタは、僕一人が勝手に全てを決めて良い店ではない。
婆さんと良夫ちゃんと僕の物なのである。
僕の打ち込める権利は三分の一である。
既に僕の代わりにツルッパが入っていた。
この辺を間違えると婆さん達は、ボケ老人の仮面をかなぐり捨てる…
ジトッとした目をして、二人で声を揃えて言って来る。
「おかしいですよね」
ボケていない事を気づかされる…
結果、カード代を100円程下げる事になる。
変造カードが終わりの頃には、婆さん達のカードの仕入れ値は、僕と同じ値段になっていた。
自分達でもカードを売るお客さんを抱えていた。
そのくせ揉め事があったりすると、全て僕任せであった。
随分と都合の良い二人である。
二人と話しが付いたのでツルッパを含む5人でタケコブタをやって行く事に決定した。
新人二人には、7万円程打たせて、出したお金は全て回収し、日当2万円を渡す。
二人を打たせる事によって僕の取り分は、一日6万円程であった。
それをツルッパが管理した。
完全に奴隷スタイルである。
例えしがらみが有ろうとも、甘えるだけの奴らに甘い顔はしなかった。
嫌なら真面目に働けと伝えた。
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