電波ゴト30

タケコブタのスネ夫と話しを付けて、三ヶ月程経った頃の事である。

タケコブタからゴト師の追い出しに成功して30万円の餌代を確保した僕は少し調子に乗ってしまった。

スネ夫に適当な事を言って打ち込む金額を30万円から60万円に上げさせた。

これがカード会社に目を付けられる原因になってしまった。

金額を上げすぎるのは、まずいような気はしていたのだが…

妄爺の店から育てた新人の中には、捕まる事が許されない奴らがいた。

刑務所を出たばかりの奴や、家族持ちで事情がある奴である。

刑務所を出たばかりの奴は、捕まれば直ぐに長い刑務所生活に戻る事になる。

家族持ちの奴は、男親一人で小さい子供を育てていた。

捕まれば子供は施設行きになると言う。

だから何だと言いたい…

誰だって捕まれないと思う理由は、いくらでもある。

自分達だけ特別だと思われたらかなわない。

捕まるのが嫌なら真面目に働けと思う。

普通なら、ご苦労さんといって速攻で帰らせる。

彼らは、一日2万円程になれば良いと言う。

ならばと思い、打ち込む金額をスネ夫に上げさせて、タケコブタで打たせる事にした。

しかしタケコブタは、僕一人が勝手に全てを決めて良い店ではない。

婆さんと良夫ちゃんと僕の物なのである。

僕の打ち込める権利は三分の一である。

既に僕の代わりにツルッパが入っていた。

この辺を間違えると婆さん達は、ボケ老人の仮面をかなぐり捨てる…

ジトッとした目をして、二人で声を揃えて言って来る。

「おかしいですよね」

ボケていない事を気づかされる…

結果、カード代を100円程下げる事になる。

変造カードが終わりの頃には、婆さん達のカードの仕入れ値は、僕と同じ値段になっていた。

自分達でもカードを売るお客さんを抱えていた。

そのくせ揉め事があったりすると、全て僕任せであった。

随分と都合の良い二人である。

二人と話しが付いたのでツルッパを含む5人でタケコブタをやって行く事に決定した。

新人二人には、7万円程打たせて、出したお金は全て回収し、日当2万円を渡す。

二人を打たせる事によって僕の取り分は、一日6万円程であった。

それをツルッパが管理した。

完全に奴隷スタイルである。

例えしがらみが有ろうとも、甘えるだけの奴らに甘い顔はしなかった。

嫌なら真面目に働けと伝えた。

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