電波ゴト29

リカちゃんが倒れた原因は真面目にやり過ぎたからであろう。

稼ぎがトップクラスと言う事は、電波を浴び続けた時間も、トップクラスと言う事である。

リカちゃん事件を、経験した後に振り返って見ると、僕達にも思いあたる事がいくつもあった。

ホールで突然吐き気に襲われ、車で横になった事も何回かある。

手足が痺れたようになった事もある。

大概がすぐ良くなったので電波と関連付けなかった。

電波は目に見えないのである…

後に詳しく知る事になったが、道具から発射されている電波は、凄まじい威力であった。

機械が苦手なので上手く説明出来ない…

専門的な説明も事細かく聞いたのだが、何を言っているのか理解出来なかった…

何言っちゃってんの?コイツ?

そう思っていた…

アホである…

ソケットから外した蛍光灯に、電波を飛ばすと、電気が点く威力であった。

例えでは無く、本当に点く。

電波なのに電気が点く。

ある意味、殺人マシーンであった。

命を削ってゴトをする。

そう言う感じである。

しかしこの時は、まだ詳しく分かっていない。

道具屋に、一人心臓が止まった事を伝えると、体にアルミホイルを巻いてから道具を装着すれば平気だと言う。

電波を散らすそうだ…

嘘だとすぐに気付いた。

心臓は守れるかもしれないが、頭にアルミホイルは巻けない。

間違い無く馬鹿になる…

脳みそが破壊されるような気がした。

僕はリカちゃん事件以来余り電波ゴトをしなくなった。

やったのは短時間で大金になる電波ゴトだけである…

ゴトで死んだり、クルクルパーにはなりたく無い…

手下もリカちゃん事件を全員知っていたので、辞める奴が出ると思ったが誰も辞めなかった。

儲けだけを考えると、カードゴトより電波ゴトが確実であった。

当たり前のように体にアルミホイルを巻いて電波ゴトを続ける。

元々狂った奴らばかりだったので、今さら馬鹿になる心配はしないようであった。

馬鹿が電波で、更に馬鹿になる。

恐ろしい事であった。

少し賢かったリカちゃんだけは、スパッと電波ゴトをやめた。

死に掛けたので当然ではあろう。

人にやらせ始めた…

全て女の子である。

方法はヤクザと対して変わらない。

話しが付いていて安全である事を餌にして、アガリの70%ぐらいを巻き上げているようであった。

さらには店員を引き込む新規開拓も怠らない。

抱える打ち子は増えて行く。

道具も一人で3台前後抱えていた。

一度死んで更にパワーアップしたリカちゃんであった。

お前…

死にかける度に強くなる…

あれか?

サイヤ人か??


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