電波ゴト25

リーダー格の呼び出しには成功した。

道具を250万で売る相手が見つかったと言わせた。

喜んで持って来るとリーダーは言っていた。

何一つ疑っていない。

高速の出口近くのファミレスの駐車場で待ち合わせをした。

電話から2時間後にリーダーから到着した事を告げる電話が掛かった。

既にファミレスには手下4人が待機している。

Gの男に言わせるセリフは決まっていた。

「迎えに行った人達の車に乗って来て」

リーダーは何の疑いも無く引っ掛かった。

手下の車に乗せてすぐにアイマスクをさせた。

「アジトを知られたく無いと言え。抵抗したら絞めろ」

そう僕は手下に言った。

倉庫に連れて来られたリーダーは既に手下に絞め上げられていた。

抵抗したと言う。

嘘であろう…

気に入らなかっただけだろう。

倉庫に着いて更に手下が絞め上げた。

リーダーは、ただ謝り続けるだけであった。

こんな物だろうと思い手下を止めた。

道具も無事回収した。

最後にお金の話しを僕がした。

「二人で500万用意しろ」

そんなお金を、4人が持っていないであろう事は初めから分かっていた。

この当時の道具代など、僕が手に入れる値段は50万を切っていた。

下手くそなゴト師でも10日も稼動すれば作れる金額である。

人を襲ってまでも奪う意味が僕には分からない。

仕入れ先を知らなければ、道具の修理さえ出来ないのである。

当然人に売るのは難しい。

道具を高い物と認識しているのか、手に入れられない立場のゴト師と想像出来た。

人に使われているのか、仕入れ値段が200万円に近いのか…

なんにせよ稼げない奴らだと思っていた。

下っ端のゴト師の生態もある程度知れている。

一日5万円前後のお金を稼ぎ、大半を夜の内に消費する。

明日への不安は口にするが、深くは考えない。

誰かが、どうにかしてくれると思っている。

ゴトが永久に続くと信じ込んでいる。

それが下っ端のゴト師の思考回路である。

こんな奴らが、まとまったお金など持っている訳がない。

なのに500万の請求をした。

回収する方法があるからである。

手下に絞め上げられた茶髪のガッチリしたリーダーは、地べたに座り俯いていた。

顔はデコボコよりも腫れ上がっている。

やり過ぎだろ…

コイツら限度を知らないのか…

改めて筋肉マン達が馬鹿に見えた。

茶髪の横には、パイプ椅子に座り、見ているだけしか出来なかったGの男が呆然としている。

仲間を売った男…

「慰謝料と道具のレンタル賃だ。どっちが金用意するんでも良いぞ」

僕は二人にそう言った。

お金が出来なければGTRを売り飛ばす。

ブローカーとの話しは付いていた。

「書類さえ揃えば、その場で買い取るよ。俺は善意の第三者って事で問題ないしな」

少し前に、車の年式を伝えた所、350万なら買うと言う。

相場よりも安く買い叩かれている事は分かっていた。

しかし捕まる可能性が高い以上、仕方の無い事である。

茶髪が先に口を開いた。

払う意思はあるが、お金は100万程しか無いと言う。

「そんな事は知らねえよ。金が足りないならGTR売り飛ばすから書類用意しろ」

Gの男に嫌が言える状況では無かった。

書類作成と、茶髪の現金を銀行から下ろす為、三人の手下に連れられて、Gの男は倉庫を後にした。

Gの男の顔には、完全に諦めの色しか無かった。

コメント

  1. pack より:

    10年前くらいになるのかな17歳か18歳の時モバゲーで読んでました!
    中国人の田中とその後どうなったかめちゃくちゃ気になってます。笑
    いつか、僕勉強してましたの方も更新してもらえたら嬉しいです!
    更新応援してます!頑張ってください!

  2. pack より:

    17歳か18歳だったかモバゲーで読んでいました!
    もう10年前くらいになるのかな?
    中国人の田中さんとの結末がめちゃくちゃ気になってます!笑
    更新頑張ってください応援してます!
    いつか僕勉強してましたも見れる日を心待ちにしております!

    • ぽっぽ焼き より:

      packさんコメントありがとうございます。モバゲー時代にも読んで下さっていた方からのお声がけは、ほんっっとーーーに嬉しいです。僕勉強の方も覚えていていただいて、ありがとうございます。そちらも中途半端なので、どうしようかと思案中です。このブログはほぼ毎日更新しますので、これからも宜しくお願いします。