電波ゴト22

住所が知れた日の夜からデコボコと二人で早速下見に動いた。

本当にこの住所に住んでいるのかを調べなくてはならない。

千葉県行徳。

夜8時…

スカイラインGTRの持ち主が住んでいる可能性の高いアパートはすぐに見つかった。

部屋に電気は点いていない。

町の風情は決して田舎では無い。

東京と対した違いが見えない町である。

アパートの周りには民家や商店が密集している。

人も結構歩いている。

ここで人掠いか…

静かに連れ去らないと、すぐ通報される…

そんな事を考えながら白いGTRを捜してアパートの近辺を歩き廻った。

結構歩き廻ったがGTRは見当たらない。

めんどくさくなった…

帰りたい…

「まだ時間が早いんですよ。帰って来てませんよ」

そうデコボコが言った。

それもそうかと思いファミレスで時間を潰す事にした。

デコボコは終始体の痛みを訴えて来る。

紫色に腫れ上がった顔は、笑えるがウザい。

8人じゃないな…

コイツは使い物にならん…

くだらない話しをしながら、夜11時まで時間を潰してアパートの近辺に戻った。

アパートの電気は点いていない。

近くに点在する駐車場を見て廻る。

しかしアパートの半径500メートル程の駐車場には、白いGTRは当然のように見当たらない。

まだ待つのかと思うと怠くて仕方ない。

車の位置さえ確かめれば良いのである。

次回、車に乗る所を数人で押さえる積もりである。

人通りが先程と違い絶えていた。

少し東京の街中と違うようである。

停めた車の中に、男二人は目立つような気がした。

仕方なく、また違うファミレスへ待機の為に行った。

飲んだコーヒーは10杯に近い。

イライラが募る。

「2時にもう一回見廻って、居なかったら明日出直すか?」

デコボコが体を痛がるのでウザ過ぎる。

しかしデコボコしか4人組の顔を知らない。

見つけるまでは我慢させるしか無い。

2時になりアパートへ向かった。

アパート近くのコンビニの前を通り掛かった時、助手席のデコボコが声を上げた。

「あっ!GTR!」

コンビニの駐車場には、白いスカイラインGTRが停まっていた。

僕はデコボコに聞いた。

「あれ、そうなの?」

それほど珍しい車とは言えない。

車はあれと同じだと言うので、半信半疑でコンビニ前に戻った。

コンビニの中には何人かのお客さんが見える。

「いる?」

そう聞きながら僕はコンビニの中を、反対車線の車の中から注意深く見た。

「ちょっと目が悪いんですよね〜」

デコボコは僕の体越しにコンビニの中を見つめながら言った。

しかし僕には見えた。

アイツだ!

間違いない!

なぜそう思ったのかは分からない。

4人の風体は聞いてはいたが、誰がGTRを運転していたかはデコボコも知らない。

感じた。

ロクデナシの臭いを…

そうとしか言えない。

僕は自分自身を信用していないが、自分の勘だけは信じている。

これまでに、数々の危険を切り抜けられて来たのは、全て勘でしかない。

その他には何もない。

この時も当たった。

コンビニから出たソイツはGTRに乗り込んだ。

中肉中背…

決して強そうには見えない…

「アイツです!間違いないです!」

デコボコは、興奮気味に叫んだ。

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