住所が知れた日の夜からデコボコと二人で早速下見に動いた。
本当にこの住所に住んでいるのかを調べなくてはならない。
千葉県行徳。
夜8時…
スカイラインGTRの持ち主が住んでいる可能性の高いアパートはすぐに見つかった。
部屋に電気は点いていない。
町の風情は決して田舎では無い。
東京と対した違いが見えない町である。
アパートの周りには民家や商店が密集している。
人も結構歩いている。
ここで人掠いか…
静かに連れ去らないと、すぐ通報される…
そんな事を考えながら白いGTRを捜してアパートの近辺を歩き廻った。
結構歩き廻ったがGTRは見当たらない。
めんどくさくなった…
帰りたい…
「まだ時間が早いんですよ。帰って来てませんよ」
そうデコボコが言った。
それもそうかと思いファミレスで時間を潰す事にした。
デコボコは終始体の痛みを訴えて来る。
紫色に腫れ上がった顔は、笑えるがウザい。
8人じゃないな…
コイツは使い物にならん…
くだらない話しをしながら、夜11時まで時間を潰してアパートの近辺に戻った。
アパートの電気は点いていない。
近くに点在する駐車場を見て廻る。
しかしアパートの半径500メートル程の駐車場には、白いGTRは当然のように見当たらない。
まだ待つのかと思うと怠くて仕方ない。
車の位置さえ確かめれば良いのである。
次回、車に乗る所を数人で押さえる積もりである。
人通りが先程と違い絶えていた。
少し東京の街中と違うようである。
停めた車の中に、男二人は目立つような気がした。
仕方なく、また違うファミレスへ待機の為に行った。
飲んだコーヒーは10杯に近い。
イライラが募る。
「2時にもう一回見廻って、居なかったら明日出直すか?」
デコボコが体を痛がるのでウザ過ぎる。
しかしデコボコしか4人組の顔を知らない。
見つけるまでは我慢させるしか無い。
2時になりアパートへ向かった。
アパート近くのコンビニの前を通り掛かった時、助手席のデコボコが声を上げた。
「あっ!GTR!」
コンビニの駐車場には、白いスカイラインGTRが停まっていた。
僕はデコボコに聞いた。
「あれ、そうなの?」
それほど珍しい車とは言えない。
車はあれと同じだと言うので、半信半疑でコンビニ前に戻った。
コンビニの中には何人かのお客さんが見える。
「いる?」
そう聞きながら僕はコンビニの中を、反対車線の車の中から注意深く見た。
「ちょっと目が悪いんですよね〜」
デコボコは僕の体越しにコンビニの中を見つめながら言った。
しかし僕には見えた。
アイツだ!
間違いない!
なぜそう思ったのかは分からない。
4人の風体は聞いてはいたが、誰がGTRを運転していたかはデコボコも知らない。
感じた。
ロクデナシの臭いを…
そうとしか言えない。
僕は自分自身を信用していないが、自分の勘だけは信じている。
これまでに、数々の危険を切り抜けられて来たのは、全て勘でしかない。
その他には何もない。
この時も当たった。
コンビニから出たソイツはGTRに乗り込んだ。
中肉中背…
決して強そうには見えない…
「アイツです!間違いないです!」
デコボコは、興奮気味に叫んだ。
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