電波ゴト20

警察に訴える時に道具の事は言わないで、お金だけ奪われ暴行されたと言えば良い。

取られた金額も10万円を越えていた。

顔などもデコボコになっている。

更に相手はナイフまで出している。

どう見てもカツアゲのレベルを越えている。

後に病院に行った所、肋骨も数本折れていた。

強盗と判断されたら警察もある程度真剣に動く…

真剣に動いた時の日本警察の捜査力は世界一である。

多分すぐに捕まる。

しかし、この方法には重大な穴がある。

我慢がならん…

被害者Aと僕の怒りがおさまらない…

電波道具も警察が絡めば僕の手に戻らない可能性が高い。

僕まで被害者であった。

しかし、泣き寝入りか訴えるかの選択しか、この時は無いように思えた。

被害者Aに会い、細かい状況を聞く事にした。

なんとかして4人組を見つけ出して、地獄を見せてやりたかった。

被害者Aは、主に千葉県のホールを廻ってゴトをしている20代の男である。

妄爺の店に来ると言ったが、それはまずい。

絶対妄爺は、でしゃばって来る。

ウザい…

千葉県寄りのファミレスで被害者Aに会った。

数居る手下の電波ゴト師の中で、彼が襲われた理由は分かっている。

稼げる電波組は、みんな打ち子を一人は連れている。

自分の儲けも増えるし、打ち子にもお金を渡せるからである。

逆に稼げない組の奴らは、自分の日当ほどしか出せない為、打ち子は連れていない。

単独だから狙われた。

そう言う事であろう。

確かに一番手っ取り早い。

人によっては高額な道具が手に入る。

4人組は警察に訴える事もしないと予想したのであろう。

起こるべくして起こった事件であった。

ファミレスで被害者Aのデコボコになった顔を見た時は笑えた。

人の不幸が何故か面白い。

僕は性格が悪いようである。

笑いながら被害者Aに僕は言った。

「お前、道具死守しろって言ったよな。抵抗したのかよ」

「出来ませんよ! 相手4人ですよ!」

偉そうにデコボコ顔の彼は言った。

「無抵抗?」

恥ずかしそうに彼は、はい、すいませんと答えた。

無抵抗の奴をここまでやったか…

許さん…

笑いながらも怒りは爆発しそうであった。

絶対に見つけ出して、拷問に掛けてやろうと決めた。

道具を奪っている以上、4人組の中にゴト師が居ると考えられた。

ゴト師で無ければ被害者Aに道具の使い方を聞くはずである。

素人が見て分かる物では無い。

千葉県中のパチンコ屋を、しらみつぶしに捜して見るか…

手掛かりが欲しい…

僕は被害者Aに聞いた。

「どんな奴らだった?」

手掛かりは呆気なく見つかった。

4人とも20代に見えたと言う。

「車が、白のスカイラインのGTRでナンバーがこれです」

被害者Aは、そう言って一枚の紙をテーブルの上に出した。

その紙には、完全なナンバープレートの数字が書きなぐってあった。

4人組は被害者Aがほぼ抵抗しなかったので油断した。

去り際に彼の目の前を車で走り抜けた。

ナンバーから車の持ち主…

見つけられる!

つい最近、妄爺の店に入り浸っている車のブローカーに世間話しで聞いていた。

「警察でも無いのにナンバーだけで分かるの?」

「車屋なら陸運局行けば簡単に分かるぞ。普通の奴でも大丈夫じゃないかな」

そうブローカーは言っていた。

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