警察に訴える時に道具の事は言わないで、お金だけ奪われ暴行されたと言えば良い。
取られた金額も10万円を越えていた。
顔などもデコボコになっている。
更に相手はナイフまで出している。
どう見てもカツアゲのレベルを越えている。
後に病院に行った所、肋骨も数本折れていた。
強盗と判断されたら警察もある程度真剣に動く…
真剣に動いた時の日本警察の捜査力は世界一である。
多分すぐに捕まる。
しかし、この方法には重大な穴がある。
我慢がならん…
被害者Aと僕の怒りがおさまらない…
電波道具も警察が絡めば僕の手に戻らない可能性が高い。
僕まで被害者であった。
しかし、泣き寝入りか訴えるかの選択しか、この時は無いように思えた。
被害者Aに会い、細かい状況を聞く事にした。
なんとかして4人組を見つけ出して、地獄を見せてやりたかった。
被害者Aは、主に千葉県のホールを廻ってゴトをしている20代の男である。
妄爺の店に来ると言ったが、それはまずい。
絶対妄爺は、でしゃばって来る。
ウザい…
千葉県寄りのファミレスで被害者Aに会った。
数居る手下の電波ゴト師の中で、彼が襲われた理由は分かっている。
稼げる電波組は、みんな打ち子を一人は連れている。
自分の儲けも増えるし、打ち子にもお金を渡せるからである。
逆に稼げない組の奴らは、自分の日当ほどしか出せない為、打ち子は連れていない。
単独だから狙われた。
そう言う事であろう。
確かに一番手っ取り早い。
人によっては高額な道具が手に入る。
4人組は警察に訴える事もしないと予想したのであろう。
起こるべくして起こった事件であった。
ファミレスで被害者Aのデコボコになった顔を見た時は笑えた。
人の不幸が何故か面白い。
僕は性格が悪いようである。
笑いながら被害者Aに僕は言った。
「お前、道具死守しろって言ったよな。抵抗したのかよ」
「出来ませんよ! 相手4人ですよ!」
偉そうにデコボコ顔の彼は言った。
「無抵抗?」
恥ずかしそうに彼は、はい、すいませんと答えた。
無抵抗の奴をここまでやったか…
許さん…
笑いながらも怒りは爆発しそうであった。
絶対に見つけ出して、拷問に掛けてやろうと決めた。
道具を奪っている以上、4人組の中にゴト師が居ると考えられた。
ゴト師で無ければ被害者Aに道具の使い方を聞くはずである。
素人が見て分かる物では無い。
千葉県中のパチンコ屋を、しらみつぶしに捜して見るか…
手掛かりが欲しい…
僕は被害者Aに聞いた。
「どんな奴らだった?」
手掛かりは呆気なく見つかった。
4人とも20代に見えたと言う。
「車が、白のスカイラインのGTRでナンバーがこれです」
被害者Aは、そう言って一枚の紙をテーブルの上に出した。
その紙には、完全なナンバープレートの数字が書きなぐってあった。
4人組は被害者Aがほぼ抵抗しなかったので油断した。
去り際に彼の目の前を車で走り抜けた。
ナンバーから車の持ち主…
見つけられる!
つい最近、妄爺の店に入り浸っている車のブローカーに世間話しで聞いていた。
「警察でも無いのにナンバーだけで分かるの?」
「車屋なら陸運局行けば簡単に分かるぞ。普通の奴でも大丈夫じゃないかな」
そうブローカーは言っていた。
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