しかし泣き言を言っていてもお金にはならない。
出来る事をして稼ぐしかない。
当たりの権利の終わりと共に、台を列の右端に変えた。
そこからは凄かった。
僕の予想通り左側の台には電波が飛ばない。
初当たりを引いてからイッキに10万円近くを出した。
店員やお客さんの目などは気にもならない。
まだまだ情報の知られていないゴト道具である。
もう少し道具の性能を掴みたい…
そう思った。
この店では短時間で両替し過ぎていたので、店を変えた。
次の店でも最初に電波の飛び方をいろいろ試した。
最初の店と余り変わらない感じである。
ただ、台の正面で電波を飛ばしても、保留ランプが点かない台がある事も分かった。
最後に右端の台に座り、また10万円近くを出した。
三件目でも同じように行動した。
この日、昼過ぎから行動した僕の儲けは、30万円を越えた。
初当たりさえ引いてしまえば、ハーネスや裏ロムの出方に匹敵する道具であるように感じる。
威力は凄いが、電波の飛び方に、焦る一日でもあった。
その日の夜、リュウに会い、状況の説明をした。
リュウは笑いながらアッサリ言った。
「あ〜 それ道具壊れてるアルナ」
は?
なに笑って言ってんの?
「なんでそんな壊れた道具でやってるアルカ?俺に電話すれば良いのニ〜」
そう言うとリュウの笑いは激しさを増した。
お前…
殴るよ…
「あほアルヨ〜」
コイツ…
いつか僕が、強制送還させようと思った…
なんなら今から入国管理局を呼ぼうと思った。
「おい、入管の電話番号何番だ…」
そう僕はリュウに聞いた。
笑いながらリュウが聞く。
「え?何か用アルカ?」
「あ〜 お前に無料で〇国旅行させてやるよ… 中々良い国らしいぞ… パンダも居るしな…」
ギョッとした顔でリュウの笑いはピタリと止まった。
「遠慮するな… 笑い続けろ…」
「も〜笑わないアルヨ!笑わないアルヨ!」
そうリュウは何度も繰り返した。
結局この道具は、壊れていて、電波の飛び過ぎであった。
修理に出したが、二ヶ月後に届いた道具は、改良され、初当たりを簡単に引ける機能が付いていた。
簡単に新しい機能を説明すると、約300回転回す間に、間違い無く体感機を操作出来れば、大当たりを引けると言う物であった。
後で必要を感じれば細かい機能及び操作方法を説明する。
説明が面倒臭いのである…
おい!
道具自体の形状は変わっていない…
初当たり機能が加わった事により、稼ぎは一日30万円をコンスタントに越えるようになった。
電波も周りの台に飛ぶ事は無かった。
しかし、隣りの台を狙えば飛んだ。
道具屋からの説明などは無かったが、それを僕は知っていた。
当然試してもいる。
電波ゴトも拡がって来ると、誰でも知っている事になったが、それは先の話しである。
その頃になると電波ゴトの情報はホール側にも知られていて、やりづらくなっていた。
一台で二人出来る…
上手くやれば三人…
次の道具が入るまでに、一人誰かを育てようと考えた。
隣りで見ているだけでも、道具さえ入れば、すぐに出来るようになると思った。
道具の値段は、60万円と安かったが中々入って来なかった。
コイツなら出来ると思った手下の中の、7、8人に声を掛けた。
その中に、リカちゃんがいた。
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