電波ゴト14

しかし泣き言を言っていてもお金にはならない。

出来る事をして稼ぐしかない。

当たりの権利の終わりと共に、台を列の右端に変えた。

そこからは凄かった。

僕の予想通り左側の台には電波が飛ばない。

初当たりを引いてからイッキに10万円近くを出した。

店員やお客さんの目などは気にもならない。

まだまだ情報の知られていないゴト道具である。

もう少し道具の性能を掴みたい…

そう思った。

この店では短時間で両替し過ぎていたので、店を変えた。

次の店でも最初に電波の飛び方をいろいろ試した。

最初の店と余り変わらない感じである。

ただ、台の正面で電波を飛ばしても、保留ランプが点かない台がある事も分かった。

最後に右端の台に座り、また10万円近くを出した。

三件目でも同じように行動した。

この日、昼過ぎから行動した僕の儲けは、30万円を越えた。

初当たりさえ引いてしまえば、ハーネスや裏ロムの出方に匹敵する道具であるように感じる。

威力は凄いが、電波の飛び方に、焦る一日でもあった。

その日の夜、リュウに会い、状況の説明をした。

リュウは笑いながらアッサリ言った。

「あ〜 それ道具壊れてるアルナ」

は?

なに笑って言ってんの?

「なんでそんな壊れた道具でやってるアルカ?俺に電話すれば良いのニ〜」

そう言うとリュウの笑いは激しさを増した。

お前…

殴るよ…

「あほアルヨ〜」

コイツ…

いつか僕が、強制送還させようと思った…

なんなら今から入国管理局を呼ぼうと思った。

「おい、入管の電話番号何番だ…」

そう僕はリュウに聞いた。

笑いながらリュウが聞く。

「え?何か用アルカ?」

「あ〜 お前に無料で〇国旅行させてやるよ… 中々良い国らしいぞ… パンダも居るしな…」

ギョッとした顔でリュウの笑いはピタリと止まった。

「遠慮するな… 笑い続けろ…」

「も〜笑わないアルヨ!笑わないアルヨ!」

そうリュウは何度も繰り返した。

結局この道具は、壊れていて、電波の飛び過ぎであった。

修理に出したが、二ヶ月後に届いた道具は、改良され、初当たりを簡単に引ける機能が付いていた。

簡単に新しい機能を説明すると、約300回転回す間に、間違い無く体感機を操作出来れば、大当たりを引けると言う物であった。

後で必要を感じれば細かい機能及び操作方法を説明する。

説明が面倒臭いのである…

おい!

道具自体の形状は変わっていない…

初当たり機能が加わった事により、稼ぎは一日30万円をコンスタントに越えるようになった。

電波も周りの台に飛ぶ事は無かった。

しかし、隣りの台を狙えば飛んだ。

道具屋からの説明などは無かったが、それを僕は知っていた。

当然試してもいる。

電波ゴトも拡がって来ると、誰でも知っている事になったが、それは先の話しである。

その頃になると電波ゴトの情報はホール側にも知られていて、やりづらくなっていた。

一台で二人出来る…

上手くやれば三人…

次の道具が入るまでに、一人誰かを育てようと考えた。

隣りで見ているだけでも、道具さえ入れば、すぐに出来るようになると思った。

道具の値段は、60万円と安かったが中々入って来なかった。

コイツなら出来ると思った手下の中の、7、8人に声を掛けた。

その中に、リカちゃんがいた。

コメント