電波を飛ばす時にバックを箱から持ち上げて、少し出ているアンテナをパチンコ台に向ける。
そして右足の親指の下のボタンを、踏むように押す。
不自然な動きと言えばこれぐらいだろうか…
体感機のボタンを押す左手はそれほど不自然では無い。
店側に情報さえ知られていなければ簡単な事であった。
さてヤルかと思い、真ん中辺りの台に座る為に歩いた。
そこで僕はいきなりドジを踏んだ。
文字通り踏んだ…
歩きながら足の親指のボタンを踏んじゃった…
突然右手に位置する誰も座っていないギンパラの台の液晶の数字が回転し始めた。
ビクッ!とした。
やべ! 踏んだ!
台寄りにバックを持っていたのが失敗だった。
ボタンを押さないように歩く事は理解していたが一瞬忘れた…
慌てて回っている台に座る。
左手側二台隣りのお客さんを見た。
こっち見てないな…
そう思い顔を自分の台に向けた。
なぜか右手側の空き台の液晶も回転していた。
やべ!
また踏んじゃった!
早く止まれと思っていると【リーチ!】とか言っている。
僕はこの道具を使い、初回しで大当たりを引いた。
偶然の当たりだ!
苦労無しで当たった事には喜んだが、リュウの話しとは違っている。
電波を拾う台は全ての台では無いと言っていた。
「拾わ無い台もあるから拾う台探してネ。拾わなかったら発信機を台に近づけて」
そうリュウは言った…
それがなぜか離れていたのに二台回っている。
あの野郎〜!
いつも適当な奴であった。
この道具ダメじゃないか?
そう思った。
自分の台に電波を飛ばして、周りの台も回るのではやっていられない。
しかし、これは後に優位に働いた。
一つの道具で、二、三人出せる事になる。
だが、この時はただ焦った。
ちょうど良く当たりを引いていたので、いろいろ試す事にした。
するとまた話しが違う事に一つ気付いた。
大当たりを引いているので、当然のように箱の中には玉がある。
バックは?
どこ置くの?
ずっと持ってんの?
仕方なく玉の上に、箱を塞ぐようにバックを置いた。
随分と不自然な置き場所である。
箱から玉が取れない…
しかしこの程度の事は問題ない。
問題は周りに電波が飛んでしまうかどうかである。
自分の台に向け電波を飛ばして試した。
また自分の台と右側の台が、誰も座っていないのに回っていた。
やれねーよ!
アホか!!
すぐ捕まるわ!
しかし左側の台は回っていない。
もう一度試す。
今度はアンテナを左側の台の方に向けて電波を飛ばした。
なぜか僕の台だけ回っている…
左は電波を受け付けないのか?
左の台の正面に座って試したいが、近くにお客さんが座っていた。
どっか行かないかな…
道具の動作確認を早く終わらせないと、今日の稼ぎが減る。
少し自分の当たり玉を消化させながら、お客さんが席を離れるのを待っていると、お客さんはトイレに立った。
自分の台を放って置いて左側の台に移動する。
電波が乗るのかだけを試す。
するとその台と僕の台だけ回った。
また右側にも飛んだ…
自分の台に戻り考え込んでしまう。
台の正面か、左側から電波を当てると回りやすいのか?
それなら道具を使える方法はある。
列の一番右端に座り、右側に台を置かない所ならやれる…
随分面倒臭い道具だと思った。
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