「自分はパチンコ屋のクズ店員なんかに捕まったりしませんから!ぶっ殺したって逃げて見せますよ!!」
駄目だよ…
殺したら…
またおかしいのが来たなぁと思っていた。
はっきり言って、この段階で帰って欲しかった。
紹介者の妄爺の友達が、この光景を見て、笑いながら言った。
「コイツなら大丈夫だよ。気合い入ってからよ」
いらんよ…
人殺す気合いなんて…
やる事ゴトだよ…
勘違いすんな、馬鹿…
捕まっても助けたりしないし、責任も取らない事を確認した。
まあ、これぐらいの方が良いのかなと思っていた。
取りあえずやりやすいホールに行った。
最初の内、新人君は僕の近くで打たせる事にしている。
少年Aも当然そうした。
なんの問題も無く普通に打っている。
キョロキョロする訳でも無く、怖がってる感じも一切ない。
2時間程近くで打つのを見ていて、こりゃ平気だなと思って僕は台を移動した。
それからも1時間ごとぐらいに少年Aを見に行っていた。
何回目か見に行った時に感じた。
何かおかしい…
店員の雰囲気が…
なんかやったのかなと思い、少ししてから少年Aの近くに戻って、僕はまた彼を見ていた。
近付く店員が明らかに少年Aを見てビビる動きをしている。
知り合いかなと思った。
しかし別段問題はなさそうである。
それから少しして、その日は終わりにした。
車の中で少年Aに聞いてみた。
「店員知り合いだったの?」
「知りません!」
「なんかあったの?」
「何もありません!」
変なのと思いながらも放っておいた。
少し会話の続かない取っ付きにくい奴である。
新人君とホールを一緒に廻るのは、三、四日にしていた。
大体それぐらいの間に、一、二回は危ない場面に遭遇するので、どんな奴かが分かる物であった。
二日目に原因に気付いた。
少年Aは僕が近くで打っている時は普通に打っている。
ところが僕が離れると、何もしていない店員を、物凄い顔で睨み付けているではないか…
それをたまたま見に行った時に気付いた。
何やってんだアイツ…
店員は意味が分からず完全に縮み上がっている。
知り合いかとこの時も僕は思った。
暫く少年Aに見つからないように見ていて、僕はある事に気がついた。
彼は近づく店員全てを物凄い顔で睨んでいる…
アイツ…
店員を目で殺そうとしとる…
新しいタイプのプッツンであった。
ニューバージョンとか要らんよ!
速攻店から連れ出した。
そんな事されたら、やりやすい店が潰れる!
「お前 何やってんだよ!」
僕は吠えた。
彼は、別に、と言った切り、僕の事まで黒目が小さい底光りする目で睨んでいる…
一瞬ゾッとして殺される危険を感じた。
ヤバイ…
殺られる…
コイツ本物のキチガイだ…
敵も味方も分からない…
オタオタしながら少年Aを連れ帰った情けない僕。
変造カードをやらせない理由は無い。
でも一緒に廻るのはもう嫌だ…
ゴトをやりに行って殺されている場合じゃない。
カードの値段を高くして、その日を最後に僕の近くから追っ払った。
勝手にやってくれ…
そう言う思いであった。
少年Aは、一人でゴトを始めて一週間もたなかった。
店員を殺しかけてアッサリ捕まった。
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