最後まで見つかる事なく…?
なんの事?
そう!
見つかる前にサンゾクは、カード会社に契約を切られて店を閉めてしまった。
僕達がリュウとハツコを残してサンゾクから撤退した五ヶ月後の事である。
一番の原因は当然のように、僕達の変造カード打ち込みによって、カード会社に目を付けられた事である。
しかしそれだけが原因では無かったように思う。
ハーネスゴトがパ〇フルだけになって暫くすると、サンゾクに変造カードゴト師が続々と集まり始めた。
僕は一切関わっていない。
サンゾクの社長は、僕がやらしていると歯抜けに泣きついたりしていたが全く知らない。
多分サンゾクに入れていた打ち子が世間話しで誰かに喋ったのであろう。
僕の脅しなど効きはしなかった。
「話しの付いた店でやっていた」
それだけ聞けばゴト師には充分である。
サンゾクで打って、たとえ捕まったとしても、それをネタにして脅かせば警察に突き出される事はない。
皆そう考える。
当然サンゾクの都合などは考えない。
まるでハイエナかハゲタカのような物である。
骨までしゃぶられる。
社長は、歯抜けを通して何度も、やめさせてくれと僕に言って来たが、どうする事も出来なかった。
サンゾク側も仕方なくゴト師を捕まえては追い出す事を繰り返した。
それが更にゴト師を呼び寄せる結果になった。
「あの店警察に突き出さないぞ」
そう言う事であろう。
サンゾクは閉店間際になって、人気店の一つに加わる盛況を見せた。
人が入っている雰囲気は一般のお客さんも呼びよせる。
随分皮肉な物であった。
そしてついにその時が来た。
その情報は、サンゾクの主任からリュウにもたらされた。
「うちの店、あと三日で一旦閉めるらしいんだよね」
そう主任はリュウに言った。
この時までリュウもハツコもサンゾクでまだ変造カードを打っていた。
店長達は小遣いをくれるリュウ達を追い出す事はしなかった。
主任は小遣いが貰えなくなる事を残念がって、閉店の情報をリュウに漏らした。
終わりである。
しかしガンガンでやったような玉抜きは出来ない。
サンゾク側は、ゴト師を捕まえる姿勢をカード会社に見せる為に必死である。
サンゾクでは、閉店の二週間程前から、マイクでカードの点検をする事を伝え、一台一台カードの点検を、一日に何度もするようになった。
これをされると根性の無いゴト師は打てなくなる。
点検で捕まったとしても、追い出されるだけなのだから、何も怖い事は無いのだが、気分的に捕まったりするのは嫌なのであろう。
その数を減らし始めた。
少し社長は自分のやり方に自信を持ったであろう。
ここに大量のゴト師を入れて玉抜きをさせるのは危険に思えた。
社長はカード会社に対する申し開きの為、自らの危険を顧みず警察を呼ぶ可能性がある。
これだけのゴト師を捕まえたのだから、うちは無罪だとカード会社に思わせる為に…
社長が腹をククれば有り得る。
僕が集めた打ち子が大量に捕まるような事になれば僕の身に危険が及ぶ。
深追いはやめようと決めた。
僕が社長なら逆に腹をククって、ゴト師を集めて大量の変造カードを使わせ、最後に一儲けを考えるのだが…
あの社長には無理だと思い、話しはしなかった。
仮に話したとしても僕の言う事など聞きはしない…
僕は嫌われ者である。
ショック!!
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