「なにしてんだよ」
そう僕は言った。
妄爺が、疲れた感じで言う。
「また、アイツにさっき手を出したんだ。助けてって電話が来たから… ついな…」
そうか…
なら問題なし…
転がっている男を見るとどうにか生きてはいるようである。
「自首するから、アイツを食えるように、なんか仕事、探してやってくれよ…」
自首… ?!
有り得ない…
ゴト師は、とりあえず逃げる道を探す…
転がってる男に僕は話し掛けた。
「お前死にたいか?」
「嫌だ…」
声に為らない声で、男は言った。
「なら鉄砲よこせ…」
更に男は、怯えたように、小さく首を振った。
「違う。お前を撃つんじゃない。救急車呼んでやるから、警察に妄爺の事は喋るな。喋ればお前の指紋の付いた鉄砲を警察に届ける。チャカどこにある?」
それでも答えない男に、いくつかの脅し文句を言った。
男は下駄箱の一番下だとか細い声で答えた。
早く病院へ連れて行かないと、この男は死ぬように感じた。
その鉄砲を持って、嫌がる妄爺を車に乗せて話しをした。
「とりあえず逃げてみよう。金はあるから二人ぐらい、いくらでも匿える」
そう僕は言っていた。
元嫁に妄爺が触ったと思われる所の、部屋中の指紋をふかせた。
それから元嫁に身の回りの物だけ持たせて、その家を出た。
最後に男に言った。
「妄爺に絡むな。次は必ず殺すぞ…」
男はかすかに頷いていた。
車で少し離れてから救急車を呼んだ。
「もしも、あの男が死んだら自首しなきゃ駄目だよ」
そう僕は妄爺に言った。
逃げ切れる物では無いし、逃げ切って良い物でもない事は理解していた。
結果、このあと何事も、すぐには起こらなかった。
あの男は死にもしなかった。
警察には黙り通したのであろう。
ヤクザの喧嘩程度で済まされたのでは無いだろうか。
更に後年、妄爺はヤクザに戻ってから、この男を絞め上げる事になる。
元々妄爺よりも、随分格下のヤクザで、元嫁に妄爺の話しを聞いて、恐れていたそうである。
しかしこの日は妄爺達を匿う方向で動いた。
元嫁の家を出た足で千葉県のホテルに部屋を取らせた。
その後部屋を借りたりいろいろ動いた。
全ては一週間もしないで落ち着いた。
こうして妄爺は、一年に渡る焼き芋屋を辞める事になった。
ひと月もすると警察の追究がない事が分かった。
その間妄爺は仕事を考えていたようである。
出した答えが麻雀屋であった。
元嫁にも店番させられるし、自分が声を掛ければ、お客さんも集まると言う。
「おかしな奴らばっかりだろうけどな」
そう妄爺は言った。
その客の中から、使えそうな奴を僕に使えと言う。
やるなら組織をデカくしろ、などとアホみたいな事も言った。
馬鹿ハゲジジイ…
組織とかいらないんだよ…
そんな物に何の意味がある…
そう思っていたのだが、この雀荘から、沢山のゴト師を育てて行く事になる。
サンゾクのハーネスの方は、二ヶ月になろうとしていたが順調であった。
抜く金額も上げたり下げたりしながらリュウが上手くやっている。
僕の読みとは違い、結構平気なもんだなと思い始めていた。
抜いた金額も八百万円に近づいている。
コメント
更新お疲れ様です!
読み直してるんですがページの「進む」「戻る」みたいな機能付けてくれると嬉しいです(>人<;)
1話読む度に前ページ戻って次何話だっけ?って確認するのが大変で(–;)
こんにちは!コメントありがとうございます。
なるほど、自分で読んでいないのでシステムの不便に気づきませんでした。
すみません!
進む、戻る、みたいなものですね。この小説はワードプレスでやってるんですが、ちょっと調べていじってみます。
また返信しますのでお待ち下さい。
ちなみに一年程前に読んでた時は進む、戻るみたいな機能が付いてたのでどこかで設定が変わっちゃったのかもしれませんね(・_・;
このコードで出来るかもしれないです!
詳しく書いてる記事がこちらにありました!
https://www.itti.jp/web-design/wp-prev-nexr/
まつおさんこんばんは。
確かに以前は次の話、前の話ってありました。
最近それが無くなったのはサムネイルを無しにしたのが原因のようで、サムネありに戻したら復活しました。
確認してみて下さい。
参考になりそうなコードも教えて下さってありがとうございます!
やはりサムネイルは無しにしたいので、このコードを使用してみます。
こちらこそ僕のワガママに早急に対応して頂いてありがとうございました!
小説ブログなのに次の話に進む、前の話に戻るがワンタップで出来ないなんてありえないです・・・
そう思っている読者さんは他にもいたと思います・・・
まつおさんの意見が無ければ、気がつきませんでした。ありがとうございます。
引き続きのご愛読をよろしくお願いします!