ひと通り聞いて僕は言った。
「お前、取り分5%だよ」
「え〜 マジですか?!」
リュウが怒った。
「お前なんか金いらないヨ!何したよ!みんな危なかったヨ!」
黙る小池…
黙れリュウ…
ウザい…
こうして小池の取り分をまた減らした。
僕が増えた。
取り付けが無事に済んでしまった今になれば、ラッキーとしか思えない。
小池に卸しているカードの値段も上げようかと思ったが、それはやめた。
怖がる奴に怖い事をさせた自分も悪いと思った。
二度と怖がりを前面に出す奴とは、付き合わないと思った。
自分が釣られるのが怖い。
次の日サンゾクの社長に連絡して、打ち込みを終わらせた事を伝えた。
リュウとハツコにはカード会社の目をゴマかす為に一週間休ませる。
歯抜けには、サンゾクが明日にも捕まるように話して、人を入れないように伝えた。
歯抜けは変わらず抜け作だった。
僕は次の日から婆さん達と一緒に打ち始めた。
婆さん達と行動するのが一番気楽であった。
決して怖がらない二人が好きだったのであろう。
スネ夫の店も健在だった。
ハツコと良夫ちゃんは、二、三日に一度は、必ずマジ喧嘩をする。
それは時も場所も選ばない壮絶な物である。
先にキレるのは必ずハツコだった。
良夫ちゃんが車の運転をしているのに、飛び掛かって噛み付いたり、引っ掻いたりする事もよくあった。
キレた時は必ず奇声をあげていた。
調べれば何か病名が付く病気だったのではないだろうか?
ハツコはスネ夫の店でしか打てなかったのだが、両脇に知らないお客さんが座ると、スネ夫の店でもプレッシャーで少しおかしくなる。
なので大概は婆さんか良夫ちゃんの隣りで打っている。
ハツコは無駄に美人である。
パチンコ屋の中では、人目を引いて、男にジロジロ見られる事が多かった。
ゴト師には向かないのである。
良夫ちゃんはそれが気に入らなかった。
スネ夫の店でもハツコのせいで目立つ。
それを良夫ちゃんがハツコに言ってホール内で喧嘩になった。
当然ハツコは「キィー」とか「ギィェー」とか変な奇声を上げている。
慌てた婆さんが二人を外に連れだしたが既に目立ってしまっている。
それ以来ハツコはたまにスネ夫の店で打つだけになっていた。
調度その頃、都合よくハツコをサンゾクに追い払えたので、良夫ちゃんは喜んでいた。
なぜかハツコとリュウは仲良しである。
怒る人間が嫌いだったのだろう。
キレさえしなければ普通の人だった。
車の運転はハツコも出来たのでリュウの面倒を見させるのには調度良かった。
僕もスネ夫の店に戻れて調度良かった。
こうしてサンゾクでの打ち込み前の形にスンナリと戻る事が出来た。
僕にとっては最良の形であった。
コメント