偽造・変造カード14

店側の対応にもよるが、めぐり巡ってお客さんの財布を直撃する。

読者を敵に廻す可能性が高い、僕の最初の一撃であった…

ゴトとは、全てそう言う物である。

すぐに両替して、少し時間を空けて角台に座った。

ダメだとは分かっていたが欲が出た。

確変を狙う…

セット終了後すぐに確変大当たりが来た。

ここからは単純に台任せである。

引きが弱ければすぐ終わる。

連チャンが五回を越えた時、冷や汗が流れ始めた。

やべぇ…

止まらねぇ…

様子を見に来たリュウが、僕をジトッとした目で見ると立ち去った。

見に来るんじゃねーよ…

ウザい奴め…

次に小池が見に来て親指を立てて喜んでいる。

分け前の計算をしているのであろう。

カメラの録画を、あんなに嫌がっていた癖に…

指立てるって何考えてんだろ?

睨んでやったらすぐ消えた。

連チャンは10回程で止まり、動作確認は終了した。

全て成功と言う事である。

この日サンゾクの打ち込みは、誰一人捕まる事なく8時に終了した。

三ヶ月に満たない打ち込みで、打ち子の稼ぎは一人七百万円程だったろうか。

僕に安く使われた結果である。

それでも彼らはサンゾクが終わる事を残念がった。

リュウが言った事と同じように、金額を下げてサンゾクで打てないかと言う奴もいた。

それら全てを退けた。

「二度とサンゾクに来るなよ。来たら僕との喧嘩だと思え。知り合いに来させたら店員に捕まえさせる。そいつを締め上げてお前らの名前が出たら覚悟しろ」

そう脅かした。

縄張り争い…

先程までの仲間が簡単に敵に変わる。

カード会社に目を付けられている以上、人数は増やしたくない。

リュウやハツコがまずい。

全ては自分の都合を優先させる。

決して仲良しこよしの集団にはなれない。

全員が自分の安全と利益を優先に考える。

ゴトの世界とは、そう言う世界である。

さらに深夜になって店員達を集めた。

サンゾクの打ち込みが、今日で終わった事を告げるためである。

月の十万とリュウ達の面倒を頼んで、一人二十万円渡した。

先々サンゾクにカード会社の手が入る可能性は高い。

警察が動く可能性もある。

僕達の事を喋ると罪が増す事を教えた。

更には報復もあると匂わせる。

口止め料込みの二十万円であった。

このお金が僕から店員に渡す最後のお金である。

みんなと別れて、小池だけすぐ呼び戻した。

いつもの焼肉屋に席を変え、リュウと三人である。

リュウは取り付けの時の小池の動きに対して怒っていた。

僕は、怒りよりも、小池の取り分が減らせる事に喜んでいた。

小池は席に着くなり言い訳を始めた。

鍵を持たない自分が、他の店員にお客さんの台を開ける仕事を頼まれて、仕方なくトイレに逃げたと言う。

喋れば喋る程、小池は墓穴を掘った。

そんな言い訳は通さない…

恐怖を外に出したお前は貧乏で良い…

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