偽造・変造カード9

僕の作戦を聞いた時は、賢い人のような理屈を言って、反対していたリュウだったが、頑として、それで行く!と言い張る僕に折れた。

「分かった。 手伝うよ」

リュウは呆れた顔で言った。

問題は小池である。

リュウが言った理屈の中には、それが正解だなと思わせる部分が幾つもあった。

取り分が減る話しばかりだったが…

しかし小池は、僕を納得させる何の理屈も無く、ただ怖がった。

「僕が捕まっても自分で台こじ開けたって言うから。小池君の名前なんか絶対出さないよ」

「でも、防犯カメラの録画は一週間保存してあるし…」

「取り付けてから一週間やらなきゃ録画された分なんて消えるよ。それから出せば平気だろ?」

しかし小池は、失敗した時の心配ばかりをし続けた。

その通り…

小池の言う事は、全て正解であった。

僕が失敗すれば小池は間違いなくクビになる。

しかし今更怖がる奴の理屈を聞くつもりは無かった。

最後は脅しになった。

「じゃあ、やめで良いよ。でもカードも、もう卸さないよ」

欲に駆られた小池の答えは一つである。

こうして小池はまた一つ不幸の階段を上った。

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開店と同時にサンゾクに入店したお客さんは数人である。

端から二列目のパ〇フルの席に付いたお客さんはゼロであった。

打ち子には入店と同時に玉抜きするように言ってある。

これにより、主任の動きを、玉抜きの列に固定させる。

小池と主任を除く店員は五人である。

お客さんが増えてくると店員は決まった列に固定するのだが、朝はテキトーな感じに人の居る列に立つ。

店員の動きは全て見切っていた。

始まりは小池が鍵を開けに来た時である。

小池が鍵を開け遠くの列にいるリュウに合図を送る。

リュウが箱を倒す。

ハーネス取り付けが始まる。

開店5分後…

小池が来ない…

あの野郎ーー!!

頭の中で何かがブチッと言った。

パ〇フルの席を立ち小池を捜す。

隣りの列に小池はいた。

「なにやってんだよ!」

押さえて凄んだ。

小池はしどろもどろで言った。

「大丈夫ですかね〜」

ここへ来て…

コイツ駄目だ…

「鍵よこせ。お前は店員だけブロックしてろ」

そう言って手を出した。

出した鍵を引ったくり更に言った。

「30秒後に取り付け始める。分かったな!」

はい、と言う小池には目もくれず、リュウの元に行き、小池がダメで鍵を受け止った事を伝えた。

リュウは笑っていた。

少し安心した。

「すぐ開けるぞ」

それだけ言って、僕はパ〇フルの席に向かった。

席に座り、鍵を回すと同時に、大きな音が遠くで聞こえた。

その音を最後に、全ての音が聞こえなくなった。

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