「それはバカがするアルよ。俺は頭を使う」
「…… 」
この野郎〜
カタコトのくせに…
入管呼ぶぞ!
しかし興味はある…
「じゃあ、どうやんのさ?」
そう僕は聞いた。
「カードが終わって、やる事が無くなったら、お前とやるアルヨ。今はカードが一番安全だよ。忍び込むのは、危ないは危ないからね」
リュウは、ゴマかすような事を言った。
嘘だな…
コイツやっぱり出来ないな…
この時は、そう思った。
しかし、それが後に間違いである事を、僕は知る事になる。
リュウのやり方は宛てにならないと思ったので、サンゾクの打ち子達にも聞いてみた。
二人、裏ロムの打ち子をやった事がある奴らがいた。
彼らが言うには、自分達が打ち子で入った所は、2、3人で入って、1人一日十万円は出すと言う。
混んでいる店だったし、打つ機種もよく変わるとも言った。
また1台、十万円…
「誰が裏ロム付けたの?」
聞くと二人とも知らないと言う。
すぐ出来なくなる店はよくあるとも言った。
彼らの話しを聞いても、僕には理解出来ない、おかしいと思う事が沢山ある。
打ち子の彼らには、分かっている事の方が少ないようである。
自分で考えるしか無いな…
しかしどう考えても、サンゾクで、一日十万円は、出し過ぎなように思える。
取り付けは、アホのリュウが余計な事を言って来たので決まっている。
とりあえず簡単に出来るだろうから付けて見れば良いやと思った。
サンゾクなど舐めている。
取り付けにバレたとしても笑ってゴマかす自信があった。
ハーネスを取り付ける日に、サンゾクの打ち込みを終わらせるのが、良いような気がする。
事務所の防犯カメラのモニター前に人がいない時が良い。
この夜、小池を誘って作戦会議を開いた。
よく打ち子達とサンゾク帰りに寄る焼肉屋の個室である。
サンゾクから、二駅程離れている。
小池は僕から買っている変造カードを人に売って、一日二万円ぐらいの儲けを掴んでいる。
月に直せば六十万円である。
さらに僕やサンゾクの社長が渡す小遣いと給料を併せると月に手に乗る金額は百万円に届く。
静岡から帰って、初めて会った小池は少し変わっていた。
洋服にお金を掛け、高いと言う時計を自慢する。
来月には、ローンで日本版高級車のセルシオを買うと言う。
典型的なバカ成金のように見えた。
好きにしてくれ…
僕に自慢するな…
興味ない…
ローンと言う事は、永遠に今が続くと思っている証明である。
「朝イチでハーネス付けたいんだけど、防犯カメラのモニターの近くに誰かいる?」
そう僕は小池に聞いた。
「えー! やるんですかー!?」
一瞬キレそうになる自分がいた。
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