「ハツコと仲良くやってたの?」
「ハツコは頭おかしいけど仲良くしてたアルヨ」
リュウはそう言った。
お前も気付いたか…
「ハーネス付けたら、打ち子の管理も俺とハツコで出来るし調度良いアルヨ」
あ~ そうか…
ハーネス付けるのか…
なんか時間あけたら嫌になったな…
勢いで付けるって言っただけだし…
リュウが確認するように聞いて来る。
「付けるんだろ?」
お前…うざい…
「あ~ 付けるよ!」
ついそう答えた。
こうして僕は、リュウのアホのお陰でたいしてお金にもならない危険に突っ込む事になった。
サンゾクは元々お客さんが少ない。
ハーネスの取り付けが成功したとしても、一日いくら出せるのか疑問であった。
出す気になれば、朝から晩まで出し続ける事は可能である。
それがたとえ100箱だとしても…
しかしすぐにバレるだろう。
ハーネスを取り付けた台だけが連日のように爆発する。
アホでもおかしい事に気付くと思われた。
ハーネスゴトは変造カードとは違い、完全に店側が損をする。
当然カードの時のような見逃しは有り得ない。
この時の僕は疑問ばかりで何も分かっていなかった。
仕方なくリュウに聞くが参考にはならないような気がする。
「お前裏ロム取り付けた時、一日どれぐらい出してたの?」
「1台十万円ぐらイ」
十万円と言えば単純に大当たり20回である。
サンゾクでは余り見かけない大当たり回数である…
無理じゃね?
「そんなに出してバレないの?」
そう僕は聞いた。
「バレるヨ!」
お前バカだろ…なに明るくバレるよとか言ってんの?
「じゃあダメじゃねえかよ!」
するとリュウは信じられない事を口にした。
「10日に一回裏ロム移動させるよ」
ん?なんて?コイツ確か、夜中にホールに忍び込んで裏ロム取り付けた事があるって言った…
10日に一回忍び込むの?まさか…
その、まさかだった。
4台のパチンコ台に、裏ロムを仕掛けて、2台を稼動させ、二十万円前後を、一日に抜くと言う。
次の日、休ませていた台で同じ事をする。
それを繰り返し、10日経つと違う機種に裏ロムを付け変える。
お前ネズミか?
人の家に勝手に出入り出来るパスでもあるのか?
「そんな簡単に出たり入ったり出来る店ねーだろ?!」
「探せば結構あるアルヨ」
この時、具体的な店の名前を二軒言われた。
それは婆さん達が、変造カードをやっている店であった。
「バーチャン達にカード渡しに行った時見て来たヨ」
セキュリティの種類や、鍵の事まで細かく言っている。
その全てのセキュリティが破れると言う。
「お金あんまり掛けてないセキュリティは簡単アルヨ」
簡単って…
なんかカッコイイじゃねーか…
リュウのくせに…
「お前、ホールの営業中にトイレの天井裏に隠れるんだろ? なんかテレビで見た事あるぞ…」
お前にはソレがお似合いだ…
そうだと言え…
便所虫!
ニヤニヤ笑うリュウがいた…
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