組織犯罪の始まり33

ホール内は、お客さんが増え過ぎて玉抜きを許さない状況になっていた。

仕方ない…

玉抜きはやめさせよう…

余計おかしくなる…

僕は打ち子達に、玉抜き中止を伝えた。

皆が大人しく普通に打ち始めて2時間程経った。

あれ? と思った。

店員の雰囲気が、おかしい。

誰か疑われたか?

心配になり打ち子達を見に行った。

別段怪しまれている様子は無い。

一人づつに携帯で疑われたかを聞くが、別にと答える。

でもおかしいとしか思え無かった。

とりあえず全員をホールの外に出した。

ツルッパなどは、呼び出しただけなのに、既に青い顔になっている。

お前…

情けない…

全員に聞いた。

「おかしいと思わなかった?」

「どこが?」

皆の目が、まるでヘタレを見る目であった。

こいつらー!

しかし「どこが?」と聞かれても僕にもわからん。

感覚である。

みんなが平気と言うなら仕方ない。

僕だけ疑われたのかな?

しかし目を付けられた感覚は無い。

おかしいと思っただけである。

「じゃあ気をつけて打って。おかしいと思ったらすぐやめて店出て。そんで皆に連絡して」

打ち子達はバラバラにホールへと戻る。

僕はビビッてしまったツルッパを落ち着かせる為、二人で話しをしていた。

先にホールに戻った打ち子が、すぐに全員戻って来た。

なんだ?

「変造カードの点検を、一台づつマイクで放送しながらやってます」

打ち子達が、変造カードをサンドから抜いている事を確認して、ホールへと見に行った。

二人セットの店員が、一人一人のお客さんのカードをサンドから抜いてカードの裏側を見ていた。

昨日の夜の怒りが再燃していた。

あの野郎ー!

絶対許さん!!

すぐさま店長の携帯に電話をした。

「おかけになった電話は現在電波の届か… 」と例の女が言った。

みなまで聞かずに電話を切る。

バックレか!どうしてくれようか…

冷静になろうと思ったが我慢がならん。

あんな小物店長脅しても無駄だと思った。

ガンガンのオーナーをビビらせる事に決めた。

サンゾクの社長に電話して状況を話す。

だいたいの流れを話した後に僕は言った。

「ガンガンのオーナーの電話番号教えて下さい」

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しかし、ガンガンのオーナーを庇って、教えようとしない。

「だったら連絡取って下さい」

「連絡つかないんだよね…」

ふざけるな…

怒りの矛先がサンゾクの社長に向かう。

自分を押さえられなかった…

自分の手を汚さずに、金にしようとするコイツらが、大嫌いで仕方なかった。

言葉を選ぶゆとりは無かった。

「アンタね~ いい加減にしなよ。頼んで来たのアンタだろ? 話しがちゃんと付いてねーじゃねえかよ。パクられんのコッチなんだよ。おい!」

社長からの返事が無い…

黙っているので更に言う。

「変造カードだって二千万円分ぐらい余ってるのに、どうすんの? 損害は社長出してくれんの?」

サラっと嘘こいた。

サンゾクの社長は、自分が損する事に敏感だった。

「いまガンガンのオーナーに連絡して見るから」

そう慌てて言った…

連絡出来んじゃねーかよと思ったが、少し待つ事にした。

しかしもう、ダメだろうな~とは思っていた。

少しするとサンゾクの社長から電話が来た。

ガンガンのオーナーはやらせたいらしいが、部長が反対していると言う。

誰やねん?と思った。

聞けばガンガンのオーナーの甥っ子であると言う。

今後はソイツと話せと言う。

なぜ僕が??

そのまま聞いた。

「なぜ僕が?」

その後ダラダラと続く社長の言い訳にめんどくさくなり、部長の携帯番号を聞いた。

もう帰ろうかな?

たいしてお金にもならないし…

しかし変造カードが余っている。

東京に帰ったらサンゾクもやめようと思ったので、カードは使い切りたい。

仕方なく部長に電話をした。

部長はすぐに出た。

軽く挨拶をして、外へ出て来てくれるように言った。

すぐに行くと言う。

なんか怖そうな感じ…

いきなり殴られないか?と思わせる威圧感があった。

僕は正義が嫌いだ。

変造カードを打たせないと言う、部長の中には正義があった。

更には正義を振りかざす奴は、凄く苦手だった。

多分自分のゴミ野郎な部分を見せ付けられるからではなかったか?

案の定、部長は怒った顔で僕の前に立った。

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