組織犯罪の始まり28

突然横に立つツルッパが吠えた。

「てめぇら!黙って言う事聞きゃ良いんだ!!」

「…… 」

やめろ…

歯抜けのマネするの…

泣き虫のくせに…

しかしこれが中々効いた。

みんなツルッパを分かっていなかった。

そこからは、スンナリみんなで時間割りを決めた。

「あいた時間はカードを原価で卸すから、一人づつなら海賊で玉抜きしないようにして打って良いよ」

飴とムチの飴である…

しかしカードの卸値は「千円だよ」とだまくらかす事は忘れなかった。

次の日の朝、今度は店員の教育が待っていた…

僕は一人、戦場の前線で戦っていた…

よく見ると泣き虫ツルッパが横にいた。

営業前の時間に店長に、これからどうやって打ち込むかを話した。

金額は大体二百万円。

これには店長が反対をした。

「もっとお願いします」

「……」 

コイツも分かっていないようだった。

本当ならイキナリ二百万などでは無く、段々と増やして行くべきなのに…

仕方なく、慣れるまでは二百万にしてくれと頼んだ。

変造カードも、そんなに持って来てはいない。

郵便局の局留めで、三日に一度届く事にしていた。

その他の事について店長は全て了承した。

二人の店員を僕達専属にして、何かあれば誰に頼んでも良いと言う。

厳重に頼んだのは、店員に僕達に話しかけたり、変なサービスをさせたりしない事である。

更に、もしかして僕達が捕まった場合も、全く知らない人達だと店員に言わせるように頼んだ。

全員が芋づる式に捕まる。

こんな基本のような事まで教えなければ行けない事に強く不安を感じる。

僕の考えが、考え過ぎな事を願った。

そして何事も無く10日程過ぎた。

海賊も日曜日だけはソコソコお客さんが入るので、打ち込みの金額を日曜日だけは下げた。

相変わらず店長は、金額を上げろと言い続ける。

僕としては、海賊を潰す前に、他の二店に取り掛かりたい。

「オーナーに会わせて」

初日から言っているのに店長は会わせようとしない。

「忙しい人なんで…」

そう店長は言う。

大物ぶりやがって…

僕達と変わらないコソ泥のくせに…

早くしなきゃ海賊が潰れて…潰れたら次が無くなる…

焦りはするが、待つしか無かった。

レンタカーを借りて警察署の近くに張り込みを続ける打ち子は暇な時間を過ごしていた。


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この後すぐに地元の◯クザと揉める。

それについても書こうと思ったがやめる。

話しがゴトからはなれ過ぎる。

必要を感じた時には細かく書こうと思う。

先に手を出した僕は◯クザに拉致され無事帰還。

ションベンちびりそうなぐらい怖かったが、泣きは入れ無かった。

お金を取られる事も無く、大きな怪我をする事もなく。

また少し◯クザを舐めた自分がいた。

その組の人達とは、帰りの車に乗せられる時には仲良くなった。

その後、長くゴト関係で付き合いが続く。

組は関西にあるデカイ組織の中の組だった。

この組の名前を、揉めたので【揉め組】とする。

この後のお話しにも取引相手として、たまに登場する事になる。

パチンコ屋の駐車場で◯クザと揉めた事により、僕は海賊に近づきづらくなった。

喫茶店の夫婦などは、危うく警察を呼びそうになったと言う。

僕の役目は警察署の張り番になった…

毎日が退屈との戦いである。

早くオーナーに会わせろと店長に責っ付くが、一向に会わせようとしない。

打ち込み始めて20日目にカード会社から海賊への警告があった。

サンゾクも海賊も、どちらもカード会社から通達がある時は、口頭とファックスで来ていた。

サンゾクは最初【注意】だったのに対し、海賊にはイキナリ【警告】が来た。

店長に聞くと完全に疑っていると言う。

そりゃそうである。

終わりか?と思う。

とにかくオーナーに会わせろと言っても、のらりくらりで話しにならない。

別ルートだと思い、サンゾクの社長に、海賊のオーナーと会えるようにセッティングを頼んだ。

しかしこちらも、のらりくらりと言い訳をする。

連絡が取れないまで言い出した。

そんな訳あるか!

怒鳴り付けたいのを我慢する。

警告が来ているから早くしないとマズイとはサンゾクの社長には言えない。

サンゾクも既に二回警告が来ていた。

海賊のオーナーは怖くなったのか?と思った。

それならそれで、儲けは減るが、構わないと思っていた。

他の二軒が出来ないのであれば、海賊での打ち込み金額を上げれば良い。

危なくなるようなら諦めて帰るだけである。

僕は退屈であった。

警察の出動の仕方は大体つかんでいる。

海賊へ警察が向かうのならば確実に見つけられる自信があった。

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