組織犯罪の始まり25

しかしこの時は三軒だと僕は思い込んだ。

歯抜けのコトなど頭から消し飛んだ。

「歯抜けさんに言わないで出来る?」

ためらいは一切無い。

妄爺にこの話しをすると「それはヤバイ。知れたら歯抜けって人も本気になるぞ」と心配した。

「お前は◯クザを舐めすぎている」とも言った。

シカトした。

あんな間抜けに気づかれる訳が無いと思った。

バレた場合の事は怖いので考えないようにした。

どうにかなるさといつも思っていた。 

結局、歯抜けに、バレはしなかった。

やっぱりアイツは只の、間抜けな歯抜けだった。

その後、歯抜けは、変造カードの終わりと共に、イケナイ、ブツの売り買いに手を出した。

僕の周りにはその頃沢山の人がいる事を知っていた歯抜けは、よく電話をして来た。

「イケナイ、ブツのバイ、ニン、やる奴いないか?」

「ゴト師しかいない」

それが僕の、いつもの答えであった。

少しすると歯抜けはキロ単位のイケナイ、ブツを持っていて逮捕された。

自分でもイケナイ、ブツを喰っていた。

何年刑期を食らったのかを僕は知らない。

全く興味がない事だった。

歯抜け編   完!

あれ?

僕は社長に言った。

「僕はあの人の舎弟でもなんでも無いから問題無いです。ただ、バレたら喧嘩になるから社長が言わないなら出来ます」

社長は安心した様だった。

すかさず僕は言った。

「社長のせいでバレたら、社長に無理矢理頼まれたって言いますけど…」

「言わないよ。言う訳ないだろ!」

社長はまた少し青くなった。

この日、相手先のホールの概要を聞いて、社長の取り分も決めた。

言いづらそうにしている社長にストレートに聞いた。

「いくら欲しいんですか?」

いくらと言っただろうか…

覚えていない。

結局、一円も払わなかったからである。


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三軒のホールの場所を聞いて戸惑った。

二軒が静◯。

後の一軒が名◯屋である。

そこで困ったのがサンゾクをどうするかである。

ハーネスの取り付けは当然のように延期した。

少し冷静に考えれば、ショボイ儲けで、全てをパーにしている場合では無い。

それよりもサンゾクの管理であった。

僕には信用出来る人間がいなかった。

少し信用出来ると言えば、婆さんファミリーとリュウぐらいである。

しかしこの四人は、プッツン二人に、少し頭のイカレた女…

更には正体の知れない〇国人である。

絶望を感じた…

体が二つ必要だった。

新しい三軒には僕が行かない訳には行かなかった。

この三軒は、一人のオーナーによる経営である。

いきなり三軒同時に打ち込みを開始するのでは無く、まずは一軒で様子を見たいと言っている。

ここにプッツンファミリーを送り込んでも、カタコトの〇国人を送り込んでも話しが、なんのこっちゃ? になってしまう。

諦めた…

サンゾクを半分諦めた…

このおかしな四人を使い回す事しか出来なかった。

潰れるなら、先の短いサンゾクだと判断した。

更に、ここに芋屋も加わった。

お金の面で信用出来るのは妄爺しかいなかった。

例え妄爺に何かされたとしても問題は全く無い。

僕の稼ぎの半分は、妄爺の物だと思っていた。

しかし妄爺はなかなか うん とは言わない…

「芋のかき入れ時だ」と言う。

頭に残った髪の毛、ムシってやろうかと思った…

しつこく頼み込んで集金だけはしてくれる事になった。

だが妄爺は、この時、自分の問題を抱えていた。

僕は自分の事しか見えず、何も気付かなかった。

妄爺の憂鬱をよそに僕は走り続けていた。

僕がいない間の、何人かへのカードの受け渡しは、婆さんと良夫ちゃんにまかせた。

また二人にカード代を100円下げさせられた…

娘のハツコはリュウと組ませる事にした。

リュウを捕まらせる訳にはいかない。

人質がいなくなるし、雪ちゃんも悲しむ…

問題はハツコがヒステリーな事である。

変なプレッシャーをハツコに掛けると完全なプッツンに変身する…

どこから出すのか分からないのだが キィー!と言う奇声を突然発する。

普段は普通である。

怒ったり、怒らせたり、プレッシャーを掛けたりしなければ大丈夫なのだが…

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