でもすぐ思い出した!
とは言えチラッと聞いた事があるだけである…
なぜか小池にレクチャーを受けるゴト師…
ひと通り聞いて思った事がある。
僕にはリュウと言うドザエモンのポッケがある。
「多分手に入るよ…」
多分ね…
知らんけど…
「ホントですか!?」
小池は大袈裟に喜んだ。
た~ ぶ~ ん !
小池は言う。
「サンゾクに付けちゃいましょうよ!」
お前…
ロクデナシだね…
裏ロムとは、パチンコ台の基盤に取り付けて、大当たりを強制的に引くゴト道具である。
細かい説明は余りしない。
想像できない…
僕の記憶力の問題である。
この先も度々こう言う事は起こる。
自信がある…
あまりサンゾクを離れていられないので、この日はホールに戻った。
打ち込みが終わった帰り道、リュウに聞いた。
「裏ロムって手に入る?」
「入るアルヨ。欲しいの?」
小池の事を話したら、うちにもあるから、今から見に来るアルヨと言う。
おっ 雪ちゃん!
「雪居ないし」
ちっ!
雪ちゃんの家に着き、葉っぱの浮いたお茶を出された…
なんかいや…
少し待っていると奥の部屋から【大工の〇さん】と言う、当時人気のパチンコ台をリュウは運んで来た。
「裏ロムいっぱいあるけど、パチンコ台これしか無いから、これ見るアルヨ」
そう言って封筒を五つ取り出す。
今はとりあえず、この五機種が人気だと言う。
封筒から無造作に取り出された裏ロムは黒かった。
大きさは、タバコの箱の上の面ぐらい。
厚みは1センチ無いぐらいで、ゴキブリのような足が何本も出ている。
リュウはこれを、弁当箱と呼んでいた。
大きさ全然ちゃうし…
センスのカケラもない…
その後、誰も弁当箱と言っているのを、聞いた事がない。
取引の時に使われる隠語なので、様々な呼び名があった。
まずは取り付け方を見た。
パチンコ台の裏側にある、基板と呼ばれるコンピューターな部分がある…
コンピュータな部分?
機械は苦手である…
その基板をガードする為に、プラスチックの透明なカバーがしてある。
このプラスチックのカバーを外して、基板を剥き出しの状態にする。
ホールで取り付ける時は、ゴト対策としてカバーの周りに封印と呼ばれるシールが貼ってあると言う。
カバーを開けるとシールが破ける仕組みである。
通し番号を刷られているシールなので、破ければバレる。
このカバーはパチンコ屋が勝手に開けても違法になる。
パチンコ台は店の物であるが意外と厳しく管理されている。
店側がパチンコ台に手を加える事は殆ど出来ないのである。
「シールは破けないように剥がすノリがあるアル。番号を気にしないならシールは、いくらでも売ってるヨ」
「番号を気にする場合は?」
「時間掛かるけど作れるヨ」
凄いもんだな~となんか感動した。
まるで映画の世界のように感じる。
カバーを外したら、基板の下の方に付いている本物のロムと交換するだけである。
交換だけなら10秒ぐらいだろう。
「大当たり引いて見せるから見てテ」
そう言って、出し方の説明をしながらリュウが玉を持った。
リュウはパチンコの板面のガラスを開けて、スタートチャッカーに玉を入れ始める。
揃うんだろうな~とは思いながらも、完全に信じていた訳ではない。
どこかで疑っていた。
カタコトの〇国人は、どこか胡散臭い…
2、3分するとリュウが言う。
「セット終わったから普通に玉入れてみて。出るアルヨ」
マジで?
そんなんで?
玉を入れて見ると、数回転で大当たりが揃った。
分かっていても衝撃的であった。
この場合の【セット】とは、裏ロムを付けたパチンコ台の強制的に当たりを引く方法の事である。
一つセットを簡単に略した奴を書いておく。
感じを知っていただきたい。
まずいのか…?
僕の知った事ではない。
まずは普通に回す。
真ん中に特定の数字が止まったら、1分開スタートチャッカーに玉を入れないで待つ。
1分間待ったら、3個だけスタートチャッカーに入るまで普通に打つ。
3個入ったら30秒また待つ。
これでセット完了である。
この後、普通に打てば数回転で大当たりが来る。
待つと言う所は待ち過ぎてもいけない。
2分スタートチャッカーに玉が入らないと最初からになる。
大当たりは特定の数字を変える事によって、単発か連チャンする確変が選べる。
大当たり終了後、セットは自動で解除される。
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