組織犯罪の始まり16

いや、クソまみれだ!

「お前はクソから産まれたんだ!」

そう言った奴までいる。

小池は僕のドジをチャンスと捉えた。

「あいつなら僕が引き込みます!」

みんながクソを見る目で小池を見る。

クソが更に言った。

「僕、もうウンコはしません!!」

しーん、とした。

大爆笑になった。

こうして、新たに夜番の店員を一人引き込んだ。

この夜番は何かに使えるのでは無いかと思い、オーナーからのコヅカイは無くなるが、引き込んだ事をオーナーには内緒にさせた。

店長に設定の事を聞いたら、すいませんと謝ったからである。

漠然とオーナーを倒す方法を考え始めていた…

この局面を、打ち子は増やさず、店員を増やす事で乗り切る事に決定した。

小池はその日の夜に、パチンコ屋の寮に住む危ない店員と、月十万円で話しを付けた。

しかし暫くの間はウンコマンと呼ばれ続けた…

一人の店員が増えた事により、次の日から玉抜きにユトリが出来た。

早い時間にあまり玉抜きが出来なくても、三人の店員が味方の夜に、沢山出来るようになった。

気持ちに余裕が出来た打ち子達も、慌てる事が無くなっていった。

僕はと言えば、カードが余りそうな展開の時だけ、閉店間際の玉抜きに駆り出されるようになった。

昼間は五万円分ぐらいの変造カードで遊んでいる。

当然設定の悪い打ち子の列は避けた。

店長の立場が悪くなるので、オーナーに設定の事で文句を言ったりはしなかった。

なるべく玉抜きでカードを消化するように対抗策を取った。

とりあえず問題は無いまま時は過ぎていった。

前後がはっきりしないが、この時期だったと思う。

ウンコ事件の後、サンゾクでは玉抜き主体でやっていたので、早く終わる時は夜七時などと言う時もあった。

そんな時、婆さんと良夫ちゃんを、ある事件が襲っていた。

たまたまの偶然で僕は巻き込まれそうになった。

なぜ僕がいる時に…

そう思った事を記憶している。

僕と婆さん達は別々の場所でやり始めたとは言え、二、三日に一回は必ず会っていた。

電話は毎日。

この日は朝に変造カードを渡すのでは無く、夜サンゾクが終わってからリュウと二人でカードを渡しに行った。

婆さん達には、新しく一人の仲間が加わり、三人で打つようになっていた。


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新しく婆さん達に加わった仲間とは…

婆さんの娘だ!

名前を【ハツコ】と言った。

親子兄妹でゴト師であった…

この娘はとてつもない美人である。

年齢は聞いた事は無いが、婆さんの娘である以上40代後半であろう。

その当時20代の僕から見ても、全くそうは見えない。

30代前半から真ん中ぐらいかな?と思っていた。

後に聞いた話しだが、ある俳優養成所のオーディションで勝ち上がり、女優をしていた。

そのオーディションで次点になった女の人は有名な大女優である。

映画にも主演が決定していたと言う。

お相手は、今は亡き大男優である。

聞いた時、嘘では無いと思った。

しかし性格と言うか、人としてと言うか… 多大なる問題を抱えていた。

今はその話しでは無い。

このお話しが続いて行けば、それはいずれ明らかになるであろう。

サンゾクの玉抜き帰り、カードの受け渡しの為に最近無理矢理買わせた良夫ちゃんの携帯に電話を掛けた。

カードを持って行ってあげる為である。

スネ夫の店だけで満足するような奴らでは無い。

夜9時頃なので、婆さんは車で休憩する事があるが、良夫ちゃんは当然どこかで打っている。

電話には車で休憩していた婆さんが出た。

「どこ?」と聞くと僕も知っているホールの名前を言った。

一時間ぐらいで着く事を伝え電話を切る。

それから30分ぐらいで婆さんから電話が掛かって来た。

「良夫ちゃんがいない」

そう婆さんは言った。

このままお家帰って寝ようかな …

捕まったんだなと思いながらも聞いた。

「どこにいないの?」

婆さんは語り出した。

意外と冷静である。

僕がカードを持って行く事を良夫ちゃんに伝える為、婆さんは一緒に休憩していたハツコを車に残しホールへと行った。

すると良夫ちゃんが先程まで打っていた台に、良夫ちゃんのタバコとライターはあるのに姿が見えない。

足元には箱もいくつか積んである。

トイレだと思い、しばらく店の中をうろついて婆さんは出てくるのを待っていた。

出て来ないのでおかしいなと思っていると、店員が良夫ちゃんの台を片付け始めたと言う。

店員は、タバコもライターも全部運んで行って、その台に【調整中】の札を貼った。

思いっきり捕まってるや~ん。

そう言うの「いない」って言わないよ…

捕まりましただろ?

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