組織犯罪の始まり15

しかし僕に釣られてリュウが出た!

さらに打ち子の二人も出た!!

残った二人はサバイバル脱落である。

彼らが打ち込む筈だったカードに照準が定まった。

四十万円を越えて、その先へ!!

(僕も混ざっている段階で既に四十万では無い)

内戦の勃発だ!

戦いの火ぶたは切って落とされた!

こうして長く掛かるはずだった戦いは、事件の起きぬまま夜9時に終戦した…

誰が、どれ程の金額かは、想像又は妄想出来ないが着順を列記しよう。

一着 お金大好き僕。

二着 貧しい国出身リュウ。

三着及び四着 安全な列で打っていた打ち子二名。

五着及び六着 ご想像にお任せ致します。

後ろの着順がおかしい事に気づくだろうか?

一位、二位は分かる。

単純に貪欲な奴と貧しい育ちの奴である。

同じように安全な列から飛び出した打ち子が、ブービーとビリになったのには理由が二つある。

一つは根性はあったがテクニックが無かったと言う事である。

もう一つの理由は僕達にとって重大であった。

僕達四人が安全な列を飛び出して、三時間ぐらいすると、安全な列である変化が起こっていた。

段々とお客さんが減り始めたのである。

単純につまらない台と言う訳では無い。

当たりがほとんど出ないのである。

八割方埋まっていた二つの列で、三時間の間に箱を積み上げたお客さんは居なかった。

出ても二、三回の大当たりで終わる。

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全く無いとは言わないが、三時間、沢山のお客さんが打って、箱を積む人がいないなどと言う事が有り得るだろうか?

そんな事有る訳無い。

ならなぜ起きた?

答えは簡単。

安全な二列は全台設定が一番悪い…

この当時パチンコ台には設定が三つあった。

設定一が一番出る。

設定三が一番出ない。

(しかし設定三は出始めると爆発する特性はあった)

オーナーとしては、変造カードを使われるだけでは、普通のお客さんが増えた状況と変わりがない。

それに満足してくれれば良いのだが、サンゾクのオーナーは、更に儲けを増やそうと考えた。

その為には僕達に当たりを出さなければ良いのである。

打ち子が「出ない、出ない」といつもボヤイていた事の答えがはっきりと分かった。

オーナーが店長に指示をして、僕達が使う列のパチンコ台の設定を、1番悪くしたのである。

お客さんが来ない列だったので、バレないと思ったのであろう。

しかしバレた…

オーナー許さん!!

【そのうち倒す!】

こうして、安全な列に残っていた二人の打ち子は、猛然と玉抜きを繰り返し、追い込んだのである。

僕達四人は、そのころ震えながら打っていた…

教えろよ…

それでも、どうにか二百万円打ち込む事に成功した。

しかし、これを毎日続けるには無理がある。

小池が死ぬ…

その日の夜、作戦会議をする為、店員も含め全員で集まった。

「打ち子を増やそう」

そう僕が言うと、打ち子達に反対された。

自分達の取り分が減るからである。

自分の事は棚に上げ、欲たかり共め!と思った。

「でも打ち子増やさないと無理なんだよ。それか店員…」

この日僕は、前回揉めた時に居た店員が遅番で出勤して来たのに、構わずに打ち続けた。

危ない店員が出勤して来た時、既に僕のテンションは上がり捲くっていた。

それまでに他の打ち子を突き放す勢いでカードを消化している。

危険が楽しくて仕方なかった。

怖いと言って安全な店でしか打てない打ち子達に、ゴト師としての腕の違いを見せつけたかった。

悪い事をしているくせに、怖いと口にする奴が大嫌いであった。

そして危ない店員の目をかい潜り、打ち込みは終了した。

一気に気が抜けた。

店を出る時、危ない店員とすれ違った。

目を合わせてもいないし、見てもいない。

しかし感覚が 気付かれた!と言っている。

後でこの店員に聞いたら、似てる奴がいるなあと思われていた、だけだったが…

この時は、

無理してドジった…

そう思って泣きたくなった。

二百万円は五人では安全に打ち込めない。

打ち子を増やすのは反対された。

仕方なく無理してドジった事を告白した。

「僕… 多分サンゾクで打てない。ドジりました~」 

細かい状況をみんなに言って、へこんだ。

すると僕よりへこんでいる男が立ち上がった!

【小池だ!】

ファミレスに集まった段階でボロカスに皆に言われていた。

「ウンコ小池!」

「クソ垂れ小池!」

「ゲリゲリ小池!」

全てクソ絡みだ…

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