しかし僕に釣られてリュウが出た!
さらに打ち子の二人も出た!!
残った二人はサバイバル脱落である。
彼らが打ち込む筈だったカードに照準が定まった。
四十万円を越えて、その先へ!!
(僕も混ざっている段階で既に四十万では無い)
内戦の勃発だ!
戦いの火ぶたは切って落とされた!
こうして長く掛かるはずだった戦いは、事件の起きぬまま夜9時に終戦した…
誰が、どれ程の金額かは、想像又は妄想出来ないが着順を列記しよう。
一着 お金大好き僕。
二着 貧しい国出身リュウ。
三着及び四着 安全な列で打っていた打ち子二名。
五着及び六着 ご想像にお任せ致します。
後ろの着順がおかしい事に気づくだろうか?
一位、二位は分かる。
単純に貪欲な奴と貧しい育ちの奴である。
同じように安全な列から飛び出した打ち子が、ブービーとビリになったのには理由が二つある。
一つは根性はあったがテクニックが無かったと言う事である。
もう一つの理由は僕達にとって重大であった。
僕達四人が安全な列を飛び出して、三時間ぐらいすると、安全な列である変化が起こっていた。
段々とお客さんが減り始めたのである。
単純につまらない台と言う訳では無い。
当たりがほとんど出ないのである。
八割方埋まっていた二つの列で、三時間の間に箱を積み上げたお客さんは居なかった。
出ても二、三回の大当たりで終わる。
全く無いとは言わないが、三時間、沢山のお客さんが打って、箱を積む人がいないなどと言う事が有り得るだろうか?
そんな事有る訳無い。
ならなぜ起きた?
答えは簡単。
安全な二列は全台設定が一番悪い…
この当時パチンコ台には設定が三つあった。
設定一が一番出る。
設定三が一番出ない。
(しかし設定三は出始めると爆発する特性はあった)
オーナーとしては、変造カードを使われるだけでは、普通のお客さんが増えた状況と変わりがない。
それに満足してくれれば良いのだが、サンゾクのオーナーは、更に儲けを増やそうと考えた。
その為には僕達に当たりを出さなければ良いのである。
打ち子が「出ない、出ない」といつもボヤイていた事の答えがはっきりと分かった。
*
オーナーが店長に指示をして、僕達が使う列のパチンコ台の設定を、1番悪くしたのである。
お客さんが来ない列だったので、バレないと思ったのであろう。
しかしバレた…
オーナー許さん!!
【そのうち倒す!】
こうして、安全な列に残っていた二人の打ち子は、猛然と玉抜きを繰り返し、追い込んだのである。
僕達四人は、そのころ震えながら打っていた…
教えろよ…
それでも、どうにか二百万円打ち込む事に成功した。
しかし、これを毎日続けるには無理がある。
小池が死ぬ…
その日の夜、作戦会議をする為、店員も含め全員で集まった。
「打ち子を増やそう」
そう僕が言うと、打ち子達に反対された。
自分達の取り分が減るからである。
自分の事は棚に上げ、欲たかり共め!と思った。
「でも打ち子増やさないと無理なんだよ。それか店員…」
この日僕は、前回揉めた時に居た店員が遅番で出勤して来たのに、構わずに打ち続けた。
危ない店員が出勤して来た時、既に僕のテンションは上がり捲くっていた。
それまでに他の打ち子を突き放す勢いでカードを消化している。
危険が楽しくて仕方なかった。
怖いと言って安全な店でしか打てない打ち子達に、ゴト師としての腕の違いを見せつけたかった。
悪い事をしているくせに、怖いと口にする奴が大嫌いであった。
そして危ない店員の目をかい潜り、打ち込みは終了した。
一気に気が抜けた。
店を出る時、危ない店員とすれ違った。
目を合わせてもいないし、見てもいない。
しかし感覚が 気付かれた!と言っている。
後でこの店員に聞いたら、似てる奴がいるなあと思われていた、だけだったが…
この時は、
無理してドジった…
そう思って泣きたくなった。
二百万円は五人では安全に打ち込めない。
打ち子を増やすのは反対された。
仕方なく無理してドジった事を告白した。
「僕… 多分サンゾクで打てない。ドジりました~」
細かい状況をみんなに言って、へこんだ。
すると僕よりへこんでいる男が立ち上がった!
【小池だ!】
ファミレスに集まった段階でボロカスに皆に言われていた。
「ウンコ小池!」
「クソ垂れ小池!」
「ゲリゲリ小池!」
全てクソ絡みだ…
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