良夫ちゃんの友達が、車を取りに行ってくれている間に、ファミレスで捕まった理由を聞いた。
良夫ちゃんは、よく分からないと言った。
「じゃあなんて店員に言われた」と聞くとトイレから出て来たら一人の店員に「持ってるカードを見せてくれ」と言われたらしい。
そこで嫌だと言って外に向かったら店員に押さえられた。
外で抵抗していたら、もう一人店員が来て力ずくでポケットの中を漁られそうになったと言う。
30分は抵抗したとも言った。
嘘こけ…
5分だ…
アホう…
そこまで聞いて、店員が、なぜ弱気だったのかが納得出来た。
証拠を掴まれていなかったのである。
カードを手に取って見られていない。
疑わしいから声を掛けた。
逃げるから捕まえた…
それだけの事であった。
この時期からテレビが変造カードの事を毎日のように騒いでいた。
いよいよきつくなるのかな?
もうすぐ終わりかなと、この時は思った。
しかし、ここからが始まりであった。
この日、ドジを踏んだ良夫ちゃんは、婆さんに、こっぴどく叱られていた。
しかし懲りる事無くドジは続く。
そのドジが、チャンスにつながる事があるとは思いもしなかった…
この日、妄爺を呼び出す事は無かった。
婆さん達と別れ、一人になってから、自分の先程とった行動を振り返り恐ろしくなった。
武器を持っていたらどうなっただろう?
多分状況により使ったかも…
武器は絶対持たない。
その時が来たら、捕まろうと決めた。
時間は大分経っていたのに今更足が震えた。
止まらないふるえに笑った。
笑うとふるえが止まった。
笑うとふるえは止まる事に気づいた。
次の日良夫ちゃんに、今度捕まったら助けない事を告げた。
それは例えお母さんが捕まってもだよと言った。
婆さんは良夫ちゃんを睨みながら言った。
「当たり前です。次は良いです」
嘘こけ…
捕まったら絶対来るだろと思ったが流した。
二人がノホホンとやるのはもう構わないと思っていた。
それが二人のスタイルなのだから。
それでもどうしても直させたい所があった。
多分昨日捕まった原因もそれであろう。
何度か注意したのだが二人はシカトした。
普通の脳みそをしていれば誰でも分かる事である。
しかしこの二人は普通では無い。
断固違う!
絶対違う!!
失礼…
つい…
軽く普通では無い部分を話そうか…
この当時駐車違反をするとドアミラーに違反を示す鎖付きの黄色い標識?が取り付けられた。
鎖付きなので当然外せない。
警察に出頭してキップを切られた後、取り外して貰う。
それを無理矢理切り取る為の大型のペンチをいつも持っていた。
車の中には標識の残骸が20個はあった。
「金無い訳じゃ無いんだから罰金払いなよ」
と言っても聞かない。
「金出すから駐車場に入れよう」
と言っても聞かない。
「標識捨てよう」
と言っても聞かない。
「捕まるよ」
と言っても聞かない。
その内警察が良夫ちゃんの車に、現行犯逮捕する為、朝から張り付くようになった。
何故か張り付かれた事には気付く。
出て行けば捕まるので当然車の所には行けない。
車の中には切り取った標識が常時20個は入っているのである。
ここまでひどいと笑い話しではすまない。
ここまでで既に普通ではないが、二人は更に普通ではない。
婆さんを、張り込みしている警察官の所へ行かせ、あっちに変質者がいます、助けて下さいと言わせる。
婆さんに引っ張られた私服の警官は、婆さんがグルだとは思わないので当然婆さんに付いて行く。
その隙に良夫ちゃんが車を出す。
婆さんが連れて行った先には変質者などはいない。
そこで婆さんは得意技のボケた振りで言う。
「ここ何処ですか?」
交番に連れて行かれた所を良夫ちゃんの嫁が迎えに行く。
これを何度も繰り返す
コメント