僕の予想とは違い、先に店員に目を付けられたのはゴキブリだった。
単純に積んだ箱の異常さであろう。
お客さんが増えているとは言え、20箱を越えれば出過ぎな店なのである。
しかし店員はチラチラ見て行く程度である。
ゴキブリは、この程度で反応を見せた。
僕の携帯が震える。
「何?」
「なんか目ぇ付けられたっぽいよ…」
馬鹿か?
コイツ…
やる前から分かってる事だろが…
いくら何でも、こんなに早くバンザイして貰ってはお金にならん。
「あ そう。頑張ってね。それとイチイチ電話いらんよ。出し続けてくれれば良いだけだから。良夫ちゃんより出てんでしょ?」
「ああ、出てるよ。あのオヤジ駄目だな!」
ゴキブリは得意げに言った。
「あのオヤジ根性無いから困ってんだよ。ゴキブリさん頑張ってよ。あんまり出せないと、取り分10%ぐらいに下げられちゃうし、罰金も取られちゃうからさ」
サラっと得意の嘘こいた。
「おう 分かった。ガンガン出してくるわ!」
分かった?
今コイツ分かったって言ったな…
出せなきゃゴキブリ取り分無しだな…
取り分10%で、良夫ちゃんに更に半分持って行かれる。
僕も、取り分が少ないとゴネて半分取る。
ゴキブリ一円にもならねぇ。
笑える…
馬鹿な奴だな。
それとも罰金とか言って金ふんだくろうかな?
持ってなきゃ脇坂から巻き上げるかな…
ヤクザからのケツ取り…
楽しそう!
僕はそんな事を考えながら退屈を紛らわせていた。
退屈紛れに、一番考えていた事は、僕と良夫ちゃんなら、どっちが出せるかと言う事であった。
行き着く答えは必ず僕の勝ちである。
ハーネスや裏ロムのセットは、単発、確変を選べる物が多い。
フィーバーパ〇フルのハーネスも、単発、確変を選べる。
連チャンする確変を引いた後は台まかせである。
引きが弱ければワンセットで終わる事も普通にある。
普通は、プチサービスタイムの時短が終わってからまたセットを掛ける。
大当たり間のハマリなどもあるので、以外と時間が掛かる。
バレて困る店ならば、この打ち方が正しいだろう。
しかしサンゾクは、今日で終わるのである。
普段のルールに従う必要など無い。
僕なら時間短縮を狙う…
その為にはセットを掛け続けるのである。
決して台まかせにしない。
大当たり間のハマリは、時間のロスである。
ましてや時短など、ただの遊び時間である。
運に頼らない。
全て自分で出す。
大当たりラウンドが終わった直後に、セットを掛ける。
セット中に自力で当たる事も当然ある。
当たらなくても、ニ、三分後には次の大当たりが確実に来る。
これをただ繰り返す。
セットには、不自然に玉の打ち出しを止める時間があるので、張り付いた店員には確実にゴト師と知られる。
打つのを拒否される可能性は高い。
そんな拒否を、僕は通さない。
何を言われてもセットはやめない。
店員を言いくるめ続ける自信はある。
脅かしたりスカしたり、し続ける。
言い掛かりを付けるなら警察を呼べと言い続ける。
その間もセットはやめない。
なんの道具も証拠も無い以上、当然の権利である。
変則打ちを咎める法律は無い。
警察が来ても、警察を言いくるめる。
任意同行など決して応じない。
逮捕しろと言い続ける。
証拠が無ければ警察など何も出来ない。
人が沢山見ていれば尚更である。
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