変化 4

なぜならセンサーが敏感だからである。

店員が慌てて飛んで来たら耳に携帯電話をあてがうだけで店員の疑いを晴らす事が出来てしまう。

逃げる姿勢を全く見せずに携帯を耳にあてている客を身体検査する事など出来やしない。

とち狂って検査などと言おう物ならキレまくる。

「携帯使ったら身体検査すんのかコラ!」

それ以上の疑いを客にかぶせる事が出来る店など少ない。

自分の店の敏感センサーが悪いのである。

その後に僕はゆっくり外に出れば良い。

1番の問題は敏感センサーやパトライトを付けている店の防犯意識のズレである。

彼らはセンサーを抑止力と考えている。

ゴト師を捕まえると言う意識が低い。

捕まえると言う意識が低いセンサーには必ずスキが出来る。

ギンパラの列にセンサーを取り付けている事で勝手にゴト師が怖がって帰ると思っている。

稼げない怖がりのゴト師ならば確かに帰る。

しかし怖がらない稼ぐゴト師はスロットコーナーに入り込み頭上を見上げてパトライトが無い事を確認する。

新しくスロットコーナーにセンサーがついたとしても頭上を見上げれば分かってしまう。

パトライトタイプのセンサーを取り付けている店で、事務所内だけに警報が鳴る店は、まだまだ少なかった。

僕は、センサーが付いているのか、付いていないのか分からない店よりも、この近辺のパチンコ屋の方が楽だと思っていた。

間抜けを相手にするのは気楽であった。

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駅から歩いて数分の店を選んだ。

近くに停めた車の中に手下二人とリュウを待機させて源次と店へ向かう。

緊張はゼロである。

ただ本当に電波で設定が変わるのかが不安であった。

普通はゴト道具を手に入れると中古のパチンコ台やスロット台が売っているお店で手に入れて来て試験なり練習をする物である。

しかし僕はめんどくさかったので練習台を手に入れる事は余りしなかった。

こんなもんぶっつけ本番で充分だ…

そう思っていた。

決して狙い台が新しかったので練習台を手に入れるのに結構なお金が掛かる事を知ったからではない…

この後のゴト道具の時も練習台を買う事なくぶっつけ本番でゴトに行く事は多かった。

リュウがよく言っていた。

「セコい…」

「セコくない!10万もするじゃねーか!アホか!死ね!」

新しく高い機種になると30万は軽く超えた。

のちにこの僕のいい加減さが自分を窮地に追い込み揉め組の脇坂の指を飛ばす事になる。

彼にはザマーミロと言う言葉を贈りたい…

源次を同行した理由は、このゴトが楽に上手く出来るようなら電波の飛ばし役をやらせようと思っていたためである。

彼が機械に強い事も理由であったが1番の理由は手下達よりも信用出来たからである。

僕は少し源次を信用し始めていた。

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