リーチ目が揃えば当たり確定だが、その後は打ち手の技術が少し必要になる。
目押しと呼ばれるドラムを見ながら自分が狙ったロゴを止める技術である。
スロットをした事が無い人やコツを掴めない人から見ると狙ったロゴをピタリピタリと止める人は神にも見える。
しかしそれは偽物の神である。
リーチ目が入っていないのに7を揃えるならば神であるが、権利獲得の後ならば、たいした事をしている訳では無い。
動態視力を働かせて止めている人もいるが、そんな物が無くても、コツさえ掴めば誰にでも出来る事であった。
出来ない人は動態視力に頼り過ぎている事が多いようである。
見えない人には見えないので違う方法を上手い人に聞くべきである…
年寄りに聞く事をオススメする。
年寄りは動態視力に頼らずタイミングで止めている人が多いような気がする。
少し損をするが、目押しをしなくても適当に押していれば、それほどコインを使う事なく揃うようにスロットは作られている。
どちらかと言うとリーチ目を全て覚えている人の方が神であった。
リーチ目を覚え切れずに権利が確定しているのに気付かずに台を捨てて帰る人が沢山いたからである。
次に座った上手い人に、一回転で当たりを引かれる。
引かれて涙目になっている人をよく目撃した。
個人名を挙げるならば、その人の名は、良夫ちゃんである。
ザマミロ…
や〜いや〜い!
パチンコとスロットでは決定的に違う事がもう一つある。
それは【設定】の数である。
パチンコは設定が三つ。
スロットは設定が六つ。
これらの設定は店側がパチンコ台やスロット台を自分達の思惑通りにコントロールする為に標準装備された物であった。
スロットの設定は6が一番良い設定で1が一番悪い設定である。
しかし設定5が一番良いと言われる機種もあった。
この設定は店側が閉店時間内に自由に切り替える事が出来る。
しかし営業中の設定替えは違法であった。
スロットで勝つ為には設定6の台を掴んで一日中回し続けるのである。
それでも負け組に入る事はあったが勝つ可能性は設定6が確実に高かった。
だからと言って設定1が絶対負けるかと言えばそうとも言い切れない。
勝つ時は勝つ。
しかし設定1が一番負ける可能性が高かった。
この設定は台の外から見た目で判別する事は通常出来ない。
しかし上手い人になるとゲーム中に設定を看破する。
それらの人の理屈を何度も聞いたが僕はただウザかった。
良いよ…
インチキするから…
そっちの方が早いんだよ…
そう思っていた。
結果、僕は素人に毛が生えた程度しかスロットを理解していなかった。
頭の中はスロットプロでは無く完全なゴト師であった。
かたくなにスロットを知ろうとせずにインチキに全てをかけていた。
僕はあんなチマチマ稼ぐスロプロ達とは違う…
ゴト師に理屈などいらない…
無駄に頑固であった。
これがスロットでも僕を引き弱にして行った1番の原因である。
スロットで勝つ為には知識や技術が必要になり始めている時代であった。
数々の手下達の中で間違い無く僕が1番スロット下手であった。
くそったれ!!
どうしても泣き言になるのでスロットの説明は終わる…
しかし時間の経過とともにゲーム性が変わって行く時代であったので必要に応じて補足して行く事にする。
僕がゴト師を始めた頃に人気があったスロット台はクランキーコ〇ドルと言う台であった。
ゴト師を辞める頃によく見かけた台は、獣〇や、花〇の後継機の、ド〇ちゃん、である。
僕のゴトは、この合間にあった数々の機種を標的にしておこなった。
パチンコの人気に陰りが見えて、スロットの人気が高まり始めている時期でもあった。
都内にはチラホラとスロット専門店が出現し始めていた。
リュウにスロットのゴト道具を初めて見せられた時の僕は目押しも余り上手くなくリーチ目はほとんど知らない素人であった。
これまでに人を待つ時以外はスロットなど余りした事は無く、やってもクランキーコ〇ドルの1台だけであった。
この時この台は既に古い機種であった。
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