個人がやるギャンブルの胴元は、胡散臭さで充満している。
インチキされても、お客さんには気付けない。
国よ…
どうにかしろ。
誰の懐を潤しているのかは知っているのだろ?
いつまで目をつむる?
と、ゴト師だった僕が言って見る。
長年に渡って自分に施した洗脳は今も解けていない。
解きたくも無い。
ちなみに、カード会社を作る為に力を注いだのが警察庁である。
もっと言えば、偽造、変造カードをやられ捲くったカード会社の大株主は警察官僚や警察0Bが天下りする為に作られた企業である。
その役員のほとんどが警察関係の人間であった。
国は自分達の天下り先を確保しながらも、一度はパチンコ業界に手を入れようとしたのである。
それが、世の中に犯罪者を激増させただけでこけた。
間抜けは、この国の中枢にまで及んでいる。
犯罪を取り締まる立場の国や警察が自分達の利権の為に犯罪者を激増させた。
その頃から警察の犯罪者検挙率は急激な下降線をたどる。
余りの増え幅に逮捕が追い付かないのである。
何やってんだ、お前ら?
アホだろ?
そう思うと同時に、僕は警察組織に感謝する。
間抜けのお陰で稼げたからに他ならない。
僕は警察官が今でも好きである。
嫌いになった事は一度も無い。
現場の警察官一人一人は、正義を守る為に、一生懸命な事は、犯罪者であるがゆえに昔から僕は知っている。
乱れは、ほんの一部である。
6万円分の変造カードを細切れに数軒のパチンコ屋で使っても、一軒の店で使っても、長い目で見れば手にする金額は7割の、42000円になる。
そこから変造カード代金を引いたお金が手下達の取り分になる。
手取りにして35000円ほどであろうか。
普通の仕事とくらべれば悪いとは言えないが、捕まる可能性がある以上、良いとは言えない。
捕まれば弁護士費用も掛かるのである。
更には前科も付く。
例え犯罪と言えども、費用対効果は考える。
受付機設置前までに稼げていた金額の半額ほどに下がっている。
捕まる可能性は急激に上がっている事が落胆をいっそう深くする。
しかしこれは後の話しである。
良夫ちゃんと源次と僕の三人で廻った初日に、半数近くの手下達は、持たせた変造カードを使い切って来れなかった。
ヘタレである。
受付機に通す事がどうしても無理だと言う。
常識があればある程、限界の設定値が低いのであった。
原因はそれだけにとどまらない。
見た目で弾かれる手下達が多かった。
ただ若いと言うだけでも長い時間受付機の前に立つ事は危険である。
まして、顔や雰囲気が悪党ならば尚更であった。
カードを使い切れ無かった手下達を見ると、どちらかの条件を満たしている。
根性や気合いだけでは乗り切れない…
それが受付機の正体であった。
この日良夫ちゃんは更に二軒の店で受付機に変造カードを通す作業をしている。
店は自分で見つけて来た女性店員中心で営業している店であった。
僕と源次が見つけた店の中にカードを通しやすい店があったので良夫ちゃんに言った。
「ここ楽だよ。良夫ちゃんも行って来な」
首をブンブン振りながら良夫ちゃんが言う。
「嫌です!男が居ます!」
卑怯ここに極まれり…
先程見せた根性が、まるで嘘のようであった。
「平気だって…」
「嫌です!」
「じゃあどうすんの?やらんの?」
「女が多い店をいっぱい探してあります!」
好きにしろ…
そして女性店員中心の店に向かった。
向かいながら良夫ちゃんに言った。
「一度に通す枚数は15枚までね。それも、一度でも誰かに疑われたらやめて出て来るんだよ。今日一日だけじゃないんだから。さっきの店みたいになったら、もう出来ないんだからね。それと見張りは僕がやるから。僕がやばいと思った時は良夫ちゃんの横で小銭をばらまくから、そしたらすぐに店出て。分かった?」
良夫ちゃんは少し不満げな顔を見せたが頷いた。
誰が騙されるか…
「復唱して!」
うるさそうに良夫ちゃんが復唱した。
最近捕まっていないので段々と生意気になり始めた良夫ちゃんがいた。
そろそろ餌付けが必要な時期であった。
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