裏日男はキツい目で僕を睨んでいるだけで何も言っては来ない。
ヤクザ得意のハッタリのようであった。
能無しヤクザは必ずと言っていい程、最初にこの手のハッタリをかます。
まず自分がヤクザだと相手に気付かせて縮み上がらせようとする。
相手を怖がらせて人の上につこうとする。
それが交渉などで自分の立場を押し上げると本能で知っている。
裏日男は、まだましなヤクザだったのだろう、自分がヤクザだと自己紹介する程、恥知らずでは無かった。
ただ睨んで気付かせようとしていた。
僕の手下の中にいる質の良くないヤクザ達なら間違いなく自己紹介を始める所である。
彼らをカタギの人に何かで紹介した事が度々あった。
最初に僕は必ず釘をさす。
「相手が怖がるから絶対にヤクザって知られるなよ。分かった?」
「分かってるよ」
しかし彼らは相手と自分の立場を計りに掛けて自分の立場が下だと気付くと止めていたにもかかわらず自己紹介を始めるのであった。
「お前、ヤクザ隠せって言ったよな。なんで相手が知ってんだよ」
「知らないよ。俺、言ってねーよ!」
嘘こけ…
態度や言動の全てで、自分がヤクザだと気付いて怖がってくれと言っている。
それでも相手が気付かなければ、必ず自分がヤクザだとボソリと口にするのであった。
裏日男の無言のプレッシャーなど無視である。
黙っていても、その内、どうだと言わんばかりに自己紹介を始めるだろう。
こちらこそ、どうだである。
こそ泥をシノギにして得意になっているヤクザなど屁みたいな物であった。
めんどくさくなれば少し怖がらせて付き合いをやめるだけである。
〇国人は、裏ロムやハーネスやゴト道具をパチンコ屋に取り付ける場合、店に忍び込んだり、強行な取り付け方をする奴らが多かった。
日本人は、その手の手口は余り取らず、店側の人間と話しをつけて取り付ける事が多いようであった。
どちらが良いか悪いかは一概には言えない。
どちらにもメリットがありデメリットがある。
この時の裏中男のグループはハーネスをパチンコ屋の営業中に強行な手段で取り付けていた。
僕がサンゾクでハーネス取り付けをした形と同じような物であった。
違う所と言えば、彼らは取り付けの際に多数の人間を使う事ぐらいであろうか。
パチンコ台の鍵を持たない彼らは台をヘラ状の道具でこじ開ける。
以外と簡単に台を壊す事なく短時間で開くのである。
現在のパチンコ台はパッと見、無理であろう。
開く事は開くかもしれないが、物も考えずただ開けたのでは瞬間で気付かれるセキュリティがなされている様に見えた。
開けるだけなら、ただの間抜けな自殺である。
強行な手段で取り付けられたハーネスは、その後二度と手を加える事が出来ない。
店側に少しでも疑いを持たれた動きが見えたら、打ち子を入れる事は中止して、ほとぼりがさめるのを待つしかない。
待つ事でしか疑いを晴らす事が出来ないのである。
その点、裏日男達のグループは、店側の人間と話しを付けて裏ロムを取り付けていたので、小池がサンゾクでやったように裏ロムの設置台の移動が可能である。
しかし話しの付いた店長や店員が自分の保身を考えて口を出して来る事が普通であった。
店長達は、ただのサラリーマンなのである。
保身に走る事は当然であろう。
結果、こちらも台を休ませる事になる。
そこに、偶然究極の打ち子に変身を遂げた婆さん登場である。
裏中男も裏日男も声を揃えるように婆さんを絶賛している。
アホかこいつら…
ただのボケババアだよ…
僕は婆さんが打ち子をやっている姿を、この時までに一度しか見ていなかった。
見た感じ問題無く出来ている様なので安堵していた。
その程度の認識であった。
その後は自分の儲けにならないので放っておいた。
問題が発生すれば、どうせ僕に連絡が来る。
僕には婆さんを褒めちぎる二人が物凄い馬鹿に見えた。
コメント
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すえやんさんこんにちは。
コメントありがとうございます!
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