対策 対応策52

受付機が設置されてからの婆さんと良夫ちゃんの動きは早かった。

いや…

設置を明日に控えた夜には動き出していた。

婆さんが僕に言う。

「裏ロムとやらの仕事、明日から行きます」

おい、おい…

自由人か?

宇宙人なら納得するが…

僕もこれまで変造カードゴトで忙しかったので、二人の裏ロム打ち子の事など忘れていた。

すぐに中華ソバに聞けと婆さんが言う。

僕はアンタらの召し使いか?

うるさいので仕方なく中華ソバに電話を掛けた。

「婆さんと良夫ちゃんの二人が裏ロムやりたいって言ってるけど入れられる?」

「う〜ん。今いっぱいだヨ」

はい、で引き下がる僕では無い。

「いや… 良いから入れろよ。駄目とか無い」

中華ソバは少し怯んでいた。

「お前は、メチャクソだナ… 聞くだけ聞いてみるヨ…」

メチャクソ?

どんなクソ?

てか、クソとか言うな!

電話の返事を暫く待った。

1時間程経った頃、中華ソバからの返事の電話が来た。

中華ソバは無理矢理二人をネジ込む為に頑張ったと言う。

余計な事は良い…

結果を先に言え!

グズめ!

そう思った。

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中華ソバは、本当に二人を無理矢理ネジ込んだのであろう。

二人はバラ売りであった。

一人が普通の店での4割の取り分…

もう一人がバレ掛けている危ない店での6割の取り分…

今はこれしか空いていないと言う。

「やってる内に安全な方が空いたら、二人とも安全な方にするかラ。駄目カ?」

僕は、どっちをどっちに行かせるかで、少し考え込んでしまった。

1時間後に返事をすると言って電話を切った。

婆さんと良夫ちゃんを比べた時に、婆さんが不安であった。

良夫ちゃんは、セットの時に目をツブルとは言えハーネスゴトで100回近くのセットをした経験がある。

裏ロムもハーネスも、セットは、ほぼ同じ様な物である。

しかし婆さんは全くの無経験であった。

良夫ちゃんが、100回近く出した時も、なぜ出せたのかを余り理解していなかった。

説明も面倒なので余りしていない。

僕がこれから教えるのかと思うと憂鬱になった。

とりあえずは楽な店に婆さんを入れて、危ない店に良夫ちゃんを行かせる事にしようと決めた。

婆さんに言った。

「二人一応やれるけど別行動になるよ。良い?」

「良いです」

「それと、セットって言う変わった打ち方をしなくちゃ駄目なんだけど、ソレが覚えられなかったら出来ないよ」

婆さんはサラっと言った。

「もう覚えました」

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