対策 対応策51

「動かなく?マジで? とりあえず持って来てよ… 修理に出すから…」

そして手渡された道具を見て僕は愕然とした。

「ぺっちゃんこじゃん!!」

何してくれとんねん!!

道具は、明らかに修理不能に見える程潰れていた。

試しに、修理に出してみた所「ゴミですネ」とアッサリ突き返された。

終わった…

「弁償してくれよ!」

「知りません」

「知らない事無いだろ!」

「最初からでしたよ」

えーー!?

んな訳ねー!!

堂々と平気でトボけるのであった。

敵に廻すと恐ろしい男である。

この良夫ちゃんの言い訳に焦ったのは、夜に道具を貸した手下である。

僕の手を介さずに、前日の夜、直接良夫ちゃんに道具を手渡していた。

良夫ちゃんが、最初からと言い張るので、嘘だとは確信したが、証拠を突き付けるしかない。

僕は前日の道具の状態を見ていない事は見ていないのである。

手下を呼び出した。

ぺちゃんこの道具を見た彼の表情を見た瞬間、僕は吹き出した。

目と口が限界まで開いてヨダレが垂れそうになっている。

驚愕…

まさにソレであった。

どもり気味に彼が言う。

「こ、こ、これ… お、俺が、やったって言ってるんすか?」

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そうだ、などと言えば、良夫ちゃんを絞め殺してしまいそうな顔である。

僕は笑いながら言った。

「分かった。もう良いから帰りな。新しい道具はすぐ渡すよ」

手下は、信じられない信じられないと何度も繰り返しながら帰って行った。

良夫ちゃんは暴力に弱い。

手下に殺られる危険を感じたのであろう、渋々弁償した。

いくら何でも当たり前である。

すぐに道具を渡すと手下に言ったが、この頃は道具を入手するのに時間が掛かり、彼は暫く電波ゴトが出来なくなった。

当然僕に入る道具のレンタル賃も無くなった。

手下も被害者であったがまたしても僕も被害者であった。

その後、良夫ちゃんに、自分の担当する道具を触らせる奴はいなくなった。

良夫ちゃんは、60万円程を支払って、遂にギンパラゴトを諦めたのである。

しかし、最後まで、知らない内に壊れていたと言い張る事はやめなかった。

「あの人の家の子供が踏んだかな〜?」

しかし僕は知っていた。

あの人と言われた人の家に子供が居ない事を…

犯人は良夫ちゃんで、壊し方が、踏んだ事が原因である事が確定した。

ギンパラの電波ゴトが出来ない事により、婆さんと良夫ちゃんは、受付機が設置された段階で干上がる事になったのである。

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