対策 対応策26

僕は、この時まで、ゴキブリの兄貴分に会った事は無かった。

しかし、話しはゴキブリから聞いていた。

「兄貴は金に汚いんだよ。たまんねぇよ。すぐキレるしよ〜」

お前の兄貴じゃそんなもんだろ…

「でも頭は切れるんだぜ!」

そうゴキブリは言っていた。

源次に作戦を話してゴキブリに電話を掛けた。

「源次の事だけど、やらせるゴトがなくなったぞ。ギンパラの電波ゴトはもうキツいんだ。打ち子はもう要らない。そんで源次を使って金にする方法があるんだけど、お前の兄貴と繋いでくれよ」

ゴキブリは、しつこく、どんな方法だと聞いて来た。

「お前じゃ決められないんだよ。上手くいったら10万ぐらいお前にも小遣いやるから黙って繋げよ。源次の稼ぎが無くなったら困んだろ?」

「マジで!?なら繋ぐよ!」

「頼むわ… 言っとくけどお前、僕に協力しなきゃ駄目だよ」

「協力って何…?めんどくさい事か?」

「いや。兄貴に僕の事をホめて言っといてくれ。良い奴だとか、汚い事はしないとか優しいとか色々。それと、お前に渡す小遣いは兄貴に内緒な」

「それなら平気だ!兄貴にお前の事、悪く言った事ないぜ!」

嘘こけ…

お前は、陰で人を褒めるタイプじゃない…

クズ野郎…

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その日の夜遅くに、ゴキブリの兄貴分の、ダニ、に一人で会った。

源次がゴトに手を出す前ならば、ダニなどと会う必要は無い。

破産手続きをやりながら、同時に警察に駆け込むだけで良い。

ダニは犯罪を源次に強要した事で捕まり、借金はチャラになる。

仕返しなど恐れる必要は無い。

一度警察が絡んだ事件の仕返しは、源次の命を絶つ根性や怨みが無ければ出来る物では無い。

ゴキブリに、お金に汚くて頭が切れると言われるダニには無理であろう。

損得の計算ぐらいは出来ると期待した。

源次を痛め付けた所で、お金を持っていない事を、ダニはよく知っている。

意外だろうが、お金の貸し借りで、殺されたりするのは、借りた側ではなく、貸した側の人間の方が圧倒的に多い。

追い込み過ぎて、逆切れで殺されるのである。

貸した側は、殺せば、お金の回収が出来ずに捕まる可能性が高い。

商売として、人にお金を貸す人間の思考は、損得が中心である。

キチガイは怖いが、損得計算が出来る人間は怖くない。

当然の様に例外はある。

しかしマレである。

相手がどう言う人間か、見極めるのが肝心だと思う。

相手を見極める前に、勝手に怖がってやる必要はどこにも無い。

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