対策 対応策23

アホか?

一般の世界とは違うのである。

彼らとの付き合いなど広げた所で意味が無い。

積み上げる人間関係など誰も期待していない。

そんな物に期待していれば、遅かれ早かれ喰われる。

しかし源次は違うと言う。

人間関係が世界を動かしていると言う。

人を大事にしない人は自分の世界を狭めると言う。

狭めて良いんだと僕は思う。

一生泥棒を続けるなら別だが、そんな気が無いのなら、手下達の様なクズどもとの付き合いは、将来的に何らかの足枷になる様に感じる。

事実、源次は、既に彼らのカモにされていた。

その日ゴトで稼いで来た金額分、キッチリ麻雀で手下達に巻き上げられている。

「能書きは良いんだよ。イカサマで毎日キッチリやられてるじゃねぇかよ」

「え?イカサマですか?」

「当たり前だろ… 相手は三人で組んでる。初心者レベルの通しだ。毎日負けてる段階で気づけ。どっちにしろ負け続けてんならやるなよ。借金どうなってんだ?ゴキブリがアンタの取り分上げてくれって最近うるさいぞ。あんまり返済に時間が掛かると、かばい切れない」

源次は、これまでの返済金額を、800万円だと言った。

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この時、初めて源次の借金の理由と、最初に借りた金額をしつこく聞いた。

源次が渋々語った。

源次の嫁は無類のパチンコ好きだったと言う。

その嫁と休日などに、たまに二人でパチンコを打ちに行く事はあったが、まさか嫁が一人で打ちに行っているとは気付かなかった。

パチンコとは、打つ人間の9割以上が、長い目で見れば負ける事が確定しているギャンブルである。

打っている時間が長ければ長い程、負ける金額は跳ね上がる。

当然ギャンブルをしているのはお客さん側だけで店側はギャンブルなどしていない。

何人のお客さんを席に座らせて於けるかに、店側の儲けはかかっている。

言うなれば遊園地と同じである。

遊ばせるかわりに入園料を取る。

パチンコ屋は、その入園料が固定していなく、高いと言う違いはある。

入る時に入園料の分からない遊園地は恐ろしい。

源次は真面目なサラリーマンであった為に、休日以外は、帰宅時間がいつも深夜になった。

嫁は、一人の長い退屈な時間をパチンコで埋める様になって行った。

結果は知れている。

パチンコ依存症である。

一度パチンコに依存してしまえば、依存から抜け出す事は、至難の技であった。


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