手下達は、僕の言う事を聞いて少し怯んでいる。
確かに全てが僕の想像と空想と願望に過ぎない。
全くマト外れの可能性すらある。
外れならば彼らは、あっさり警察に突き出される可能性が高い。
「言う通りにやれ!絶対助かる!僕は天才だ!!」
シーンとした…
大爆笑になった。
口々に彼らが言う。
「お前は天の災害の天災だろ!」
「めちゃくちゃ言わないで下さいよ!」
「与太ばっかり吹くな!」
「警察、絶対呼ばれますよね!」
皆が笑っていた。
言った自分が恥ずかしい…
僕の陰での、あだ名が、この時よりジニアスになった…
「まあ、好きにしてくれ… 最後は運だよ。ツイてる奴は助かる… それだけのことだ」
運は、引き寄せる物だと言う事は、言えず仕舞いに解散した。
この時、既にスネ夫の統轄する三軒の店での玉抜きを始めて、10日近く経っていた。
婆さんやツルッパやリュウ達なども交ざって、一軒辺り一日180万円程を打ち込んでいる。
最初の頃はスネ夫も怯んでいたが、10日経ってもカード会社が何も言って来ない事で安心した様であった。
それは、ひと月経っても変わらなかった。
直前まで見知らぬゴト師を生贄に捧げて、カード会社や警察に協力していたせいであろうか。
僕の予測が当たったからであろうか。
それは知らない。
手下達は、スネ夫の店での打ち込みを中心に、あいた時間は偵察した店を廻ってゴトを続けた。
誰一人捕まる事は無く、全てが順調であった。
彼らが捕まらず、大量に変造カードを使う事により、僕に入る金額も跳ね上がって行く。
まさに荒稼ぎであった。
彼らの安全をはかる事が、いつしか僕の利益に繋がって行く様になって行った。
この時期、東京では既に、ギンパラの電波ゴトは業界中に知れ渡り、厳しい様相を見せ始めていた。
少しずつ地方へ遠出する手下達が増えている。
彼らも、東京のカードゴトの状況を知って、変造カードゴトへと戻って行く。
変造カードの使用量は、終末へと向けて加速度的に、その使用量を増やしていたはずである。
カード会社は、対応よりも、受付機設置に、全てを賭けていたのでは無いだろうか。
当然僕も朝から晩まで変造カードを打っていた。
なにも自分で打たないでも、お金は湯水の様に入って来ていた。
それでも僕は、打ち続けた。
変造カードが大好きであった。
僕をどん底から引き上げてくれた魔法のカード…
その陰で泣く人達の事など想像すらしない。
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