両替を怖がる手下や、一般ピーポーの数は、僕が予想したよりも少なかった。
皆が勢いに乗っていた事が原因であろうか…
良夫ちゃん達は、大型店の出口付近で、店から出て来た手下達に、レシートの有無を尋ね続けている。
手下が言う。
「良夫ちゃん達、ダフ屋みたいですよ… みんな嫌がってます」
は?
「なんか言ってくんの?」
「言って来ますよ… レシートないかぁ〜 レシートないかぁ〜って… 完全にダフ屋ですやん。手にレシート結構握ってるんすよ!」
アイツら…
面白過ぎる…
「まぁ、放っといてやってよ…」
僕は手下にソレだけ言った。
手下達はウザいだろうが、僕や、両替を怖がっている手下達としては助かるのである。
怖がっている手下達は、良夫ちゃん達がしつこかった事を理由に、両替に行かないで済む。
僕としては、最後の1円まで両替して貰える。
内心ニヤ付いていた。
後は欲張り二人に任せて、中型店へ向かう事に決めた。
中型店でも既に出来上がったレシート交換を始めている。
レシート作りは順調に進んでいるとツルッパから連絡を受けていた。
大型店での、両替、換金を早く終わらせて待機していた10人の手下を、中型店へと向かわせた。
僕も、中型店へと向かった。
この後、大型店では、良夫ちゃんと婆さんが、怖がる奴ら全員から集めたレシートを、全て両替した。
二人で、50万円近くのレシートを、閉店までの15分間に、2回に分けてカウンターに持ち込んだ。
最後の1回のレシート両替は、カウンターが混雑していて閉店時間を過ぎていた。
しかし、誰一人、二人を疑うそぶりを見せた店員は居なかったと言う。
無事に景品を受け取り、二人が換金所に並んだ時には、換金所の前は長蛇の列であった。
店側は、ここで、また失敗を繰り返した。
換金所の前に、店員を数人立たせて、犯人捜しを始めたのである。
その方法も稚拙であった。
その網に引っ掛かった欲張りな間抜けが二人…
良夫ちゃんと婆さんは、景品を換金所に持ち込む所で、店員達に目を付けられた。
二人は両替を急ぐ余り、景品を換金せずに貯めてしまっていた。
他の手下達は、景品を何回かに分けて換金する、当然の智恵を持っていた。
二人にはソレが無かった。
多少は、あったのだろうが、欲が、安全を切り捨ててしまっていた。
二人の両替が短時間で為された事も原因の一つではあった。
少ない景品を持って、換金所に並ぶ手下から、中型店に到着した僕に電話が掛かった
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