クソの様な手下達と、二人の扱いが違うのは当然であろう。
しかし手下達の見方は違う。
婆さんも良夫ちゃんも、完全に僕の手下と見る。
自分達と同列だと勘違いしている。
甘いのである。
人として僕が嫌いな奴は、どこまでいっても手下でしかなかった。
何かで犠牲にする事があっても仕方ないと考えていた。
その考えは最後まで変わる事が無かった。
彼らとの付き合いが続けば続くほど、僕の考え方は強固になって行った。
少し、へりくだる感じに、言葉と態度を改めた5上の男に対して、僕は苛立ちを押さえて言った。
「お前も変造カードやりたいのか?てか持って来てんのか?」
「残ってるのがある。四人やりたいって言ってるんだけど、やって良いかな? 頼むよ〜」
四人…
反逆者…
体が動くように為ったらゴトの世界から消してやる…
「やりたきゃ、やれ。ただ、レシートゴトに迷惑掛けたら覚悟しろよ。絶対許さないからな…」
「ホントか?! 悪いね!迷惑掛けないようにやるから!」
いや…
お前の存在が既に迷惑だ…
せいぜい、今日1日で、稼いでおきな…
反逆者を笑って許す程、僕は寛容では無い。
5上の男達に、変造カードを打たせない様にする事は、やろうと思えば出来た。
しかし僕は、強気を持続させる気力がわかず、言い合いが面倒臭かった。
僕自信が舐められた事が、反逆の1番の原因であると諦めた。
こうして大型店で変造カードを打つ人間は、良夫ちゃん達を含めて6人になった。
その他に、僕達とは全くの無関係な、変造カードゴト師も、大型店に何人か入り込んでいると思われた。
僕やレシートゴトにとっては迷惑でしかない。
5上の男が僕に猫撫で声で言う。
「レシートも両替するから電話で呼んでね」
都合や、相手によっては態度や声色さえ変える…
強い者には、へりくだり、弱い者には強気に出る。
5上の男は、当たり前の、人間らしい人間であった。
それが間違いであると僕は思わない。
彼の間違いは、僕に逆らった事のみである。
僕は怒りを飲み込み、レシートゴトは続いて行った。
午後6時の段階で、大型店で作られたレシートの金額は、一千万円に到達した。
両替も順調で、問題はどこにも無かった。
中華ソバが車に戻り、この先の作戦会議が始まった。
コメント